福島原発避難者訴訟第3回口頭弁論が、2月12日に福島地裁いわき支部で開かれた。前段の集会には山形、東京などから駆け付けた支援者を含め100名が参加。傍聴席は満席になった。今回は第一次訴訟の原告39名に、第2次訴訟177名が併合審理となり、東京電力を相手に合計106億1300万円余の賠償金を求めるものになった。原告の多くは弁護団を通じて東電に賠償を請求したが、東電は避難に伴う実費の一部は支払いに応じたものの、相当額が合意にいたらなかった。そこで原告は、@休業などにより失った利益の賠償、A政府による避難区域の線引きにかかわらず、土地、建物の財物の賠償(東電の主張する「時価」でなく、新たに土地・建物を得るための「再取得価格」)、B避難に伴う慰謝料1人月50万円、Cふるさと喪失に対する慰謝料1人2000万円などを求めている。
弁論では、原告側代理人から第一に、東電が全電源喪失を予見していたにも拘らず安全対策を怠ったのは過失責任であること。第二に、財物の被害の深刻さは「個々の物に分解して時価を算定」できない、「平穏生活権、人格発達権」も含む有機的生活権として把握すべきだと陳述した。それを裏付けするものとして、原告から國分富夫さん(相双の会会長)と菅野美智子さんが意見陳述。國分さんは別記のように、山、海、川そして親族、友人の命まで原発事故が奪った現実を訴え、事故が起きたら収束できなくなることを承知していたと東電の責任を追及。また、浪江町請戸の菅野さんは、津波の犠牲になった親戚5名と3匹の愛犬を、原発事故ゆえに1カ月も捜索できなかった無念を訴えた。原告代理人は裁判官が、仮設住宅、元の住居や町に出かけて行き、実態を自ら検証するよう強く求めた。
第4回口頭弁論は4月16日(水)。原告側は大集会も予定する。
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