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 2014.04.22
集団的自衛権行使の容認へ
砂川判決を歪曲


 今国会は好循環実現国会から集団的自衛権の行使容認国会に化けた。政府は4月9日、5月の連休明けに安倍首相の私的諮問会議である安保法制懇の報告書を受け取り、憲法解釈を変更する政府方針をまとめ、それに基づいて自民・公明与党の了承を取り付け、夏以降に閣議決定する考えを明らかにした。自民党は必要最小限度の集団的自衛権の行使を認めるとしながら、地球の裏側まで自衛隊を派兵する考えを公言。戦争をさせない!憲法を壊すな!5月3日の憲法記念日をはさみ大衆行動が全国で取り組まれている。


 憲法破壊へそこまでやるか


 自衛のための必要最小限度の集団的自衛権を容認する根拠として安倍首相は4月8日のテレビ番組で、1959年12月16日の最高裁砂川判決に言及した。
 1957年7月に東京都砂川町(現立川市)の米軍基地拡張・強制測量に反対するデモ隊が警察官と衝突し23名が逮捕、7人が起訴された砂川事件。裁判では憲法9条と米軍駐留の合憲性が問われ、最高裁は「米軍駐留は違憲でない」とし、違憲とする一審の伊達判決を破棄した。
 しかし、最高裁判決は、「自国の平和と安全を全うするために必要な自衛にための措置を取りうる」と日本の自衛権を認めたにすぎず、この判決を根拠に集団的自衛権の行使容認論を都合よく導き出すのは牽強付会というほかない。
 砂川判決の恣意的な解釈は昨年9月の安保法制懇の議論に始まり、与党取りまとめ役の高村正彦自民党副総裁、そして安倍首相と足並みを揃えた。しかし、砂川判決は当時の田中耕太郎最高裁長官(故人)が判決前にマッカーサー駐日米大使と会談し、「(伊達判決は)全くの誤りだった」と伝え、大使は「一審判決が覆る」との印象を本国に伝えていた。


 日本は敗戦からサンフランシスコ講和条約・日米安保条約締結以後、今日の安倍政権まで、米国の「属国」体質が抜き難く身に染みついている。


 一橋大学名誉教授 山内敏弘さん
 集団的自衛権は侵略国家への道


 最近、政府内で自衛権行使の必要最小限度の行使として、集団的自衛権行使を認めることができるという見解が出ている。これは内閣法制局や公明党の支持を取り付けることができるかもしれないという思惑から出てきたものと思われる。
 しかし、必要最小限度の自衛権の行使は、あくまでも自国を守るための必要最小限度の行使だ。海外へ出て他国のために武力の行使を伴った戦争行為を行うことが、自国を守るための必要最小限度の自衛権だということでは説明できない。
 集団的自衛権は国際的にみても、大国の小国に対する侵略戦争の意味合いを持ってきた。その行使を容認するのは日本が再び侵略国家になることを意味する。憲法の基本原理である立憲主義、平和主義を破壊しようとするものであり、断じて許すことはできない。(3月20日、戦争をさせない1000人委員会発足集会の発言)


 4・8集会の発言 大江健三郎さん
 「時代精神が危ない」



 政府は私たちが67年間守り抜いてきた時代の精神を壊してしまおうとしています。日本が集団的自衛権を行使して、アジアで、あるいは世界に広がっていくかもしれない戦争に直接参加する、保守的な政府すら守り抜いてきたものを民主主義的でない方法で一挙に壊して、新しい体制に入ろうとしています。
 戦争しない、民主主義を守るという67年間続けた時代の精神を守るために、私たちにとりうる方法は、漱石の「示威運動」、デモンストレーションです。

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