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記者会見する原告のみなさん=4月21日司法記者クラブ |
靖国神社春季例大祭初日の4月21日、宗教者、戦没遺族ら273人が国と安倍首相、靖国神社の三者を被告とする「安倍首相靖国参拝違憲訴訟」を東京地裁に起こした。同日、安倍首相は性懲りもなく供え物「真榊」を「内閣総理大臣安倍晋三」の名前で奉納。中国や韓国への配慮を求めるオバマ米大統領来日を前に、閣僚や国会議員が大挙して靖国神社に参拝する中での訴訟は、昨年12月26日の安倍参拝を弾劾するもの。憲法の政教分離・信教の自由の原則に反し、戦争準備行為による平和的生存権の侵害に当たるとして、1人1万円相当の損害賠償を求めた。
訴訟は安倍首相には参拝差止め、靖国神社には参拝受け入れ差止め、国には靖国神社との一体性の観点からそれぞれ請求した。
訴状は安倍参拝と過去の中曽根参拝(85年8月15日)と小泉参拝(01年8月13日)とを比較。特定秘密保護法の制定や集団的自衛権の行使容認など安倍政権の安全保障政策にも言及し、安倍参拝は「国家のために死んだ者を慰霊、顕彰し、国家のために死ぬことを美化し、称揚、鼓舞している」と厳しく指摘した。
原告には宗教者、戦没者遺族、一般市民とともに在日韓国人20人が参加。日本の侵略戦争に加担させられ、遺族の承諾もなく靖国神社に祀られたことは、個人の生死に対する意味づけの強要=宗教的人格権の侵害に当たるとして名を連ねた。
記者会見で、神奈川平和遺族会共同代表の吉田哲四郎さんは「安倍首相は犬死と思いたくない遺族の心情を逆手にとって戦没者に歯の浮くような賛辞を送った。愚弄され、遺族は悔しい思いをしている」と述べた。
日本キリスト教協議会靖国神社問題委員会委員長の坂内宗男さんは「祀った後に遺族に連絡がくるという個人の尊重を欠いた国の傲慢は許せない。安倍首相のナショナリスティックなやり方にも我慢できない」と話した。
ノンフィクションライターの関千枝子さんは「安倍首相の戦後レジームからの脱却は政教分離問題に凝縮されており、許せない」と語った。
真宗大谷派僧侶の蒲信一さんは「戦争に加担した慙愧の思いから戦争宗教である国家神道に抗して訴訟に加わった」と述べた。
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