今通常国会の会期末が迫る中、安倍政権は5月27日、集団的自衛権行使容認へ秋の臨時国会前の憲法解釈変更の閣議決定を目指し、「安全保障法制整備に関する与党協議」(座長・高村雅彦自民党副総裁)に15の事例を提示した。狙いは公明党を口説き落とすこと。維新の会の分裂で野党再編がくすぶるものの、任期中に憲法改定へ国民投票に漕ぎ着けたい安倍政権にとって公明党の同調は欠かせない。年末までの日米防衛指針(ガイドライン)見直し合意から逆算して、安倍首相に口から出まかせの焦りが目立ち始めた。
15事例は、A=武力の行使に当たり得る活動が8事例、B=国連PKOを含む国際協力などが4事例、C=力攻撃に至らない侵害(グレーゾーン)の対処が3事例。
本命のAは、@邦人輸送中の米輸送艦の防衛A武力攻撃を受けている米艦の防護B強制的な停船検査C米国に向け我が国上空を横切る弾道ミサイルの迎撃D弾道ミサイル発射警戒時の米艦防護E米本土が武力攻撃を受け、我が国近隣で作戦を行う時の米艦防護F国際的な機雷掃海活動への参加G民間船舶の国際共同護衛の8事例。
このうちの@〜Eは米国からの要請を受け、Fは国連及び各国からの要請、Gは各国からの要請がある場合。いずれもこれまでの「整理」では「武力の行使」に当たるとして不可能とされた。「果たしてそれでよいのか」、例えば@の事例について「紛争下で命の危険がある日本人や米国人を輸送する輸送艦を守れなくてよいのか。この船に乗っているかもしれない子供や母親たちを助けられなくてよいのか」とたたみかける。
PKOに関わる安全保障について、@侵略行為に対抗するための国際協力としての支援A駆けつけ警護B任務遂行のための武器使用C領域国の同意に基づく邦人救出の4事例を挙げた。@のケースは「国連及び米国をはじめ各国からの要請」に応じるものだが、他の3事例は日本の独自判断による。
安倍首相は国会答弁で「このままで国民の命を守り抜けるのか」とうそぶいた。
|