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 2014.06.17
労働規制破壊
国ごとブラック化


 やはり毒まんじゅうだった―。官製春闘により6年ぶりのベア実施となったものの、その後に残業代ゼロなどこれまでにない労働規制破壊の礫が飛んできた。ベア実施といっても上場大企業の50%にも満たず、むろん非正規労働者は蚊帳の外。しかも、残業代ゼロは全労働者への波及が予定されている。解雇規制の緩和も全労働者を対象とし、同時に有期雇用の規制も無にしようとしている。本来、資本による労働搾取に限度はない。労働力は富の唯一の源泉であるからだ。資本のブラック化を国家が進め、戦後最悪の労働規制緩和に乗り出した安倍政権の正体こそ、労働者の敵≠ネのだ。


 安倍発言は異様ずくめだが、なかでも際立ったのが今年1月の世界経済フォーラムでの講演だ。「既得権益の岩盤を打ち破るドリルの刃になると私は言ってきた。春先には国家戦略特区が動き出す。そこではいかなる既得権益といえども私のドリルから無傷ではいられない」
 TPP交渉では農業、医療など21分野で「既得権益の岩盤」崩しが議論されている。なかでも遅れているのが労働・雇用分野の岩盤崩しだ。
 安倍首相のドリルは資本の既得権益を守り、拡大する勢力の複合体だ。その仕組みは日本経済再生本部(本部長・安倍首相)―産業競争力会議(雇用人材部会主査・長谷川閑史経済同友会代表幹事)―規制改革会議(雇用ワーキンググループ座長・鶴光太郎慶応大学教授)―国家戦略特区ワーキンググループ(座長・八田達夫大阪大学招聘教授)。
 このアベドリルの心臓が竹中平蔵慶応大学教授・パソナグループ会長が担当を務める産業競争力会議。そして実行組織が規制改革会議、立案する頭脳は経産省。経産省は原発やTPP推進と時の省だが、新自由主義推進の牙城である。
 安倍首相が力説する国家戦略特区は、海外投資家や企業を呼び込む税金フリー・解雇自由の資本天国。将来の全国化を狙っている。


 アベ労働規制破壊メニューについて、指宿昭一弁護士は次の9項目を指摘する。@国家戦略特区A解雇規制緩和B労働時間規制緩和C労働者派遣規制緩和Dジョブ型正社員の雇用ルール整備E有期労働契約規制緩和F職業紹介改革G外国人技能実習制度の活用・拡大H仲裁改革。

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