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抗議する労働者・市民 6月20日、首相官邸前 |
集団的自衛権行使のフリーハンド化を狙う安倍政権は憲法解釈を変更する通常国会中の閣議決定を断念し、6月24日に9回目となる与党協議に閣議決定最終案を提示した。安倍政権は相以下、泥縄式に前言と食い違う発言を弄し、あるいは事実をねじ曲げる虚言を繰り返して国民を欺いて恥じないという点で歴代自民党政権でも最も下劣な政権だ。どだい、憲法解釈を時の政権の身勝手な理屈で見直すこと自体、戦後史への冒涜であり無理がある。公明党は抗しきれず大筋合意したが、国民の総意で安倍政権の企みを潰そう。
6月20日の与党協議で、安倍政権は武力行使の新3要件に集団安全保障を読めるようにした方がいいと提案した。具体的には、国連決議に基づいてのペルシャ湾ホルムズ海峡に敷設された機雷の掃海活動を挙げた。
集団安全保障は他国を侵略した国に対し、国連安保理決議に基づき、加盟国が武力を行使して制裁を加える仕組み。憲法上、国際紛争を解決する手段として武力行使を放棄している日本は、集団安全保障への参加は禁じられている。むろん、同盟国を守る集団的自衛権とは次元を異にし、「積極的平和主義」の真骨頂だ。
つとに機雷掃海活動に執着してきた安倍首相。機雷除去は「受動的かつ限定的な行使」とし、空爆や敵地に攻め込む行為とは異なると主張している。
機雷掃海活動は、5月27日に与党協議に示した15事例では集団的自衛権の事例の一つに挙げられていた。それを集団安全保障に読み替えるのは地理的な制限を撤廃し、地球の裏側まで自衛隊を派兵し、武力行使ができる国にしたいからだ。
安倍政権は、機雷掃海中に国連決議が出た場合、集団的自衛権から集団安全保障に切り替える事態を想定するが、手前勝手な空論だ。正規の国連軍は過去に一度も編成されたことはなく、想定されるのは安倍首相自身が否定する、イラク戦争のような米国中心の多国籍軍への参加だ。
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