11月の沖縄県知事選を控えて垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの佐賀空港への集約、米軍普天間基地の辺野古移設に伴う新基地建設に向けて沖合へのブイ(浮標)設置など、在日米軍再編と自衛隊との一体化が一気呵成に具体化している。これは政権の解釈次第で海外での武力行使を可能とする集団的自衛権の行使や集団安全保障への参加を前提とし、日本が米国の世界戦略に固く組み込まれたことの証である。今こそオスプレイ配備撤回・普天間基地の閉鎖・県内移設反対をたたかう沖縄に連帯し、オスプレイの自衛隊導入と全国展開に反対する声を上げる時だ。
海兵隊化する自衛隊
防衛省の計画によると、民間空港の佐賀空港は離島防衛の前線基地として軍(自衛隊と米軍)民共用の空港に変貌する。
その行程は、@14年度予算で調査費(1億円)を計上しているオスプレイを15年度に5機購入(1機約100億円)。格納庫など基地機能を整備した後、全17機を19年度に配備・運用する、A陸自目達原駐屯地(佐賀市吉野ヶ里町)のヘリ50機を佐賀空港に移駐する、B米海兵隊が運用している強襲揚陸艦を購入、佐世保港(長崎県)に配備し、陸自相浦駐屯地(佐世保市)の模擬海兵隊「水陸機動団」と一体運用する、C辺野古に新基地が建設される2022年までの間、普天間基地の米海兵隊オスプレイ24機を暫定的に移駐する、というものだ。
さらに普天間基地配備のKC130空中給油機全15機は、岩国基地(山口県)へこの8月中に移動を終える。米国防総省はステルス最新鋭戦闘機F35を岩国基地に35機配備し、辺野古新基地との一体運用を図ることを想定している。
その辺野古沿岸のキャンプシュワブに、新たに海兵隊家族の住宅建設計画があったことが明るみに出た。在日米軍再編計画では日本側の要請で隠ぺいされていた問題だ。辺野古新基地は強襲揚陸艦の接岸が可能となり、しかもF
35の訓練区域に入り、新基地は軍港化する。
こうした米軍・自衛隊一体の再編計画の成否は、11月の沖縄県知事選の帰趨にしぼられている。政府は新基地推進派の仲井真弘多知事の3選を前提に事を進めている。大義名分は「沖縄の基地負担の軽減」だ。
安倍首相自らが7月15日の参院予算員会で、「負担軽減の決意を目に見えるようにすべく、オスプレイの訓練は半分は県外で行い、普天間飛行場返還までの期間を最大限短縮したい」と答弁した。また、菅官房長官はオスプレイの佐賀空港配備について、「日本本土でも沖縄の負担軽減のためにやるべきことはやるべきだ」と述べた。仲井真知事にいたっては「オスプレイをどんどん移してもらえるならこんなにうれしいことはない」と政府への迎合と追従を露骨にした。
その言葉通り、オスプレイは厚木基地からキャンプ富士へ、横田基地から陸自丘珠駐屯地(札幌市)へ飛行。既成事実が積み上げられ、世論のオスプレイアレルギーの解消と沖縄の全国化が図られている。
辺野古沖埋め立てボーリング調査は11月末が期限。7月20日にブイなどの資材がキャンプシュワブ内に搬入された。沖縄防衛局は、県民の阻止行動を想定し、制限区域を04年時の50bから2`bに拡大。海上保安庁や民間の警備船125隻が24時間体制で警備するものものしさだ。埋め立て本体工事は9年半かかる。「許せない」県民は知事選必勝に期待を寄せる。
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