新社会党
  1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. 今週の新社会
  4. 2014.08.26
 2014.08.26
敗戦の日 首相式辞
「不戦の誓い」パス


 69回目を迎えた敗戦記念日の8月15日、集団的自衛権行使の容認や武器輸出三原則の撤廃など「積極的平和主義」を次々と政策化する安倍首相は、靖国神社参拝を自粛し、自民党総裁として玉串料の代理奉納にとどめた。これは、昨年12月の公式参拝で韓国や中国ばかりか米国、EUなどに拡散した国際的非難の再燃を回避するもの。しかし、全国戦没者追悼式での首相の式辞は昨年と同様、歴代首相が踏襲してきたアジア諸国への加害責任への「深い反省」と「不戦の誓い」はなく、首相の参拝中止は本心からのものではないことをアピールする効果をもたらした。


 首相式辞は@「み霊」への哀悼、Aパプアニューギニアに散った「遺骨」のこと、B平和への誓い、の3つの文節からなっている。@は昨年同様の美辞で飾られているが、ここに靖国史観が凝縮されている。Aは靖国神社に祀られた246万余柱といっても「骨」はなく「魂」だけ。遺族の遺骨放棄に対する不満に応えたもの。
 しかも首相が訪れたパプアニューギニアでは、14万の大軍の大半がマラリアと栄養失調で死に、内地に復員したものはわずか1万余人に過ぎなかった(内田雅敏『靖国参拝の何が問題か』)。戦争の悲惨と愚劣には何も応えていない。
 Bは「不戦の誓い」のすり替えであり、「世界の恒久的平和」への貢献= 「積極的平和主義」へのずらしだ。
 一方、天皇は「戦争の悲惨が再び繰り返されないことを切に願い」と憲法前文の誓いをもって戦没者を追悼した。遺族代表も「この悲しい歴史を二度と繰り返さない」ことを誓った。また、衆議院議長は「国会議員は最高法規である日本国憲法の精神を大切に」と釘を刺し、参議院議長も「人類の未来が戦争のない、平和で希望の満ちたものとなりますよう」と述べた。安倍首相の式辞は、憲法の精神から完全に遊離している。しかもいかに独り善がりであるかを浮き彫りにした。
 ↑上にもどる
一覧へ
TOPへ