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 2014.09.23
命の最終ライン縮小
守れ生活保護


 社会の貧困・格差の拡大に伴い今年5月の生活保護利用者は160万3093世帯、215万9852人に増えた。そのうち65歳以上75万1363世帯(47・1%)、母子世帯10万7872世帯(6・7%)。背景に非正規など不安定雇用の増大がある。だが政府は、生活扶助など生活保護給基準の切り下げを開始、すでに昨年8月と今年4月、来年4月の3段階で切り下げを実施中だ。生活保護世帯の96%、200万人以上の利用者が対象となり、平均6・5%の切り下げを迫られる。社会保障費削減に突き進む安倍政権は、生活保護基準切り下げで総額670億円節約を皮算用。これに対して昨年の切り下げを受け、全国で1万件を超える審査請求が提出された。
 

 今年7月から申請抑制を狙い改悪生活保護法が施行された。併行して社会保障審議会生活保護改革部会は、住宅扶助(家賃)と暖房費など冬季加算引き下げの検討を開始。度重なる生存権侵害は許さないと訴える「STOP!生活保護引き下げネットワーク」らは9月15日、東京都内で集会を開き、吉永純・花園大学教授が「国の狙いと問題点」について、基調講演した。


 住宅扶助引下げの理由は、当該地域における低所得者世帯とのバランスを保つこと、家賃が下がっている経済実勢に基づいて適正化すること。国交省の最低居住水準(単身世帯、面積25u)はトイレ、台所、浴室付きの6畳一間。狭小劣悪、その扶助額(1、2級地)には2万7500円(大分)〜5万3700円(東京)と幅がある。転居の際の敷金等の保証はあるが、転居先の家賃は基準額以内という条件付きだ。
 これではまともな物件は見つからない。この隙をついて、「貸し倉庫」などの名目で人を集めて居住させる「脱法ハウス」など畳2畳分をべニア板で仕切って住ませる貧困ビジネスがはびこることになる。
 吉永教授は、「住まいは人権。住宅扶助引下げは命の最終ラインの縮小と崩壊を招く。設備も含めて最低居住基準を保障し、買い物などの立地や通院等の社会関係を充足する運用が必要だ」と話した。


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