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 2014.12.16
総選挙の最中に施行
秘密保護法廃止まで闘い続ける

秘密保護法施行を許さないと集まった市民ら=底冷えの12月6日、東京・日比谷野外音楽堂 
 戦争を開始するための秘密情報を米軍と一体となって共有し、国民の知る権利を侵害する特定秘密保護法成立から1年たった12月6日、「秘密保護法」廃止へ!実行委員会と秘密保護法に反対する全国ネットワークの共催で12月10日の施行を許すなと訴える集会が東京・日比谷野外音楽堂で開かれ、寒空の下、市民ら1600人が参加した。集会は、主催者を代表して海渡雄一弁護士が挨拶、新聞労連の新崎盛吾委員長が決意を表明、学習院大学大学院の青井未帆教授がゲスト発言、特定秘密保護法に反対する学生有志の会・SASPLの代表ら協賛団体が連帯し、集会後、銀座をデモ行進した。


 強まる懸念 アキラメない/弁護士 海渡雄一さん


 屈辱の強行採決から丸1年、秘密保護法廃止運動も1年目を迎えます。あの時、安倍首相は「秘密保護法は普通の市民とは関係ない」と言いました。
 しかし、1931年の満州事変は関東軍の自作自演でした。1965年の米軍による北ベトナムへの宣戦布告のきっかけとなったトンキン湾事件も米軍の自作自演でした。
 政府が秘密保護法によって市民に真実を知らさなくてよくなったら、政府の謀略に乗ぜられ、市民が戦争に賛成することになります。安倍首相は政府の宣伝だけを信じよと言っているのです。
 法の施行が近づくにつれ、市民から基地や原発を監視し続けて大丈夫かと相談がきます。医療関係者やジャーナリストの間に、懸念が高まっています。
 秘密保護法の目的は何か。我々を委縮させ、声をあげなくさせ、黙らせるための法律です。このことを正確に見抜くなら、市民運動、労働運動は諦め・萎縮してはなりません。廃止まで闘い続けます。


 報道規制に抗する/新聞労連委員長 新崎盛吾さん


 私たちは取材や行動の自由を縛り、国民の「知る権利」を脅かす悪法に一貫して反対の声をあげてきました。
 行政の恣意的な判断で情報が隠され、その秘密にアクセスしようとする者や漏らした者を罰しようとするのは、たとえ「報道への配慮」が明記されていても、憲法で保障された「表現の自由」を束縛するのは明白です。
 政府に批判的な立場に立つマスコミへの圧力が強まっています。従軍慰安婦報道の訂正記事に始まった朝日バッシングの背後に歴史修正主義勢力の動きがあり、エスカレートしました。その背後にはそれを容認してきた現在の政権があります。
 これまでに秘密情報を入手した記者が逮捕されたり、取材目的の行為を違法行為として書類送検されたケースは少なくありません。1972年の沖縄返還密約をスクープした毎日記者が国家公務員法違反で有罪判決を受けました。秘密保護法施行で同様の事態が起きる可能性が高まっています。
 昨年、朝日の記者がパソコン遠隔操作事件の取材で不正アクセス防止法違反で書類送検されました。私も検察庁の取材に関わり、身体捜査令状を取られたことがあります。
 秘密保護法が施行されると、記者クラブに安住しない記者に対する圧力が高まってくるでしょう。捜査当局は世論の反発を恐れていきなりの逮捕は避けても、さまざまな方法で不都合な取材活動に圧力をかけてくることが予想されます。
 広くアンテナを張り巡らし、感覚を研ぎ澄まして当局の動きを監視し、秘密保護法廃止を決意したい。


 市民の声が抑止力/学習院大学大学院教授 青井未帆


 多くの問題が隠されたまま秘密保護法が施行されようとしています。市民が声をあげ続けた結果として当初の古色蒼然としたおどろおどろしい性格が少し変わってきました。
 私たちの声が大きな抑止力なっていることをまず確認したい。
 全て法律には目的があり、法律は手段として理解されます。目的のために合理的な手段でなくてはなりません。しかし、秘密保護法はこの観点から見るとチグハグです。このチグハグを解決するために目的の抜本的な再改定と手段の再考が必要です。
 この法律の究極の目的は「我が国及び国民の安全の確保」です。手段は、最高懲役10年という重い刑罰があり、プライバシーに関わる適性評価があります。
 為政者は、秘密を洩らさない体制づくりを考えてきました。それは、国民の「知る権利」は国家や国民の安全に優越するのは間違っているという町村信孝元官房長官の発言などに明らかです。
 これに対して「知る権利」の観点から批判があがり、「秘密漏えいを断固阻止する」という極端な性格はマイルドになってきました。運用基準に公文書管理や情報公開が入りました。つまり、国家の目的からすると手段が重すぎる、チグハグなのです。適性評価も対象者の私生活の全面監視が必要になります。
 市民の運動でここまで変わってきました。今後は、一方で法律の廃止を求め、一方では一層の抑止力になるように努めましょう。


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