安倍首相は1月5日の年頭会見で、下旬開会予定の通常国会を「改革断行国会」とすると述べた。アベノミクスはデフレ脱却まで続き、次の規制改革の目玉には労働、医療、農協が準備されている。また、首相は戦後70年の節目に「積極的平和主義」を世界に発信すると表明。これに結党60年の自民党の改憲策動が雁行する。
「選挙の勝利があってこそ政権運営は勢いを持てる」。先にそう述べた安倍首相にとって、4月の統一自治体選挙と来年7月の参院選で大勝することが政権運営の至上命題だ。
昨年の総選挙で「信任という大きな力」を得た安倍政権。「さらに大胆にスピード感を持って改革を推し進め、改革断行の1年にしたい」と述べていた。
その「アベ改革」はアベノミクス三本の矢の順調な仕上がりがあってこそ。その恩恵が届いていない家計と中小企業、地方から反乱が起きないように14年度補正予算となる3・5兆円の緊急経済対策を閣議決定した。
その中身は個人消費を支え、地方経済にテコ入れし、景気の好循環を図るバラマキ政策。地域限定の商品券の発行支援、自治体が自由に使える新交付金など変わり映えのしない政策が並ぶ。消費税増税後も減速顕著な経済に効果はない。
1月14日に15年度予算案が閣議決定される。消費税再増税の先送りと総選挙のためずれ込んだ与党税制改定大綱の決定は官邸主導「アベノミクス税制」そのものになった。税制の改革= 「税制のレジームチェンジ」を唱えていた首相だ。「法人税を成長志向型に変える」と述べており、15年度予算案は大企業が大活躍できる制度的仕組みが徹底される。
法人実効税率は現行の34・62%を15年度に2・51%、16年度までに3・29%以上下げ、数年後には財界の要望通り20%台にする。その上、首相が個人消費促進策として財界に要望してきた賃上げの原資の一部を法人税から減税する。これを17年度まで続ける予定だ。
住宅購入資金の非課税枠も最大3000万円まで段階的に拡大する。消費税再増税の反動緩和と住宅市場活性化、贈与税非課税枠の拡大と一体化させて富裕層の世代継承と節税対策の一石四鳥策だ。
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