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2015.04.28 
  高浜原発3、4号は運転してはならない
 福井地裁仮処分で 脱原発が前進


 福井、京都、大阪、兵庫4府県の9人が「人格権」が侵害されているとして関西電力浜岡原発3、4号機の再稼働差し止めを求める仮処分の申し立てについて、福井地裁(樋口英明裁判長)は4月14日、原子力規制委員会の新規制基準は「緩やかにすぎ」「合理性に欠く」と踏み込み、両機の「原子炉を運転してはならない」とする画期的な決定を出した。この司法判断は全国の原発の再稼働に影響し、福島原発事故後係争中の他の26件を含む訴訟の「重大な武器」となる。


 福井地裁前に集まった市民らに仮処分決定が伝えられると、「司法はやっぱり生きていた!!」、「司法が再稼働を止める」との幕が掲げられた。私も歴史的なシーンに立ち会うことができ、同じ空気を吸うことができた。その後、記者会見&報告集会が開かれ、マスコミ関係者と支援者らで超満員となった。
 そこで「脱原発弁護団全国連絡会、大飯・高浜原発差止仮処分弁護団」共同代表の河合弁護士が「弁護団声明」を発表した。
 「高浜原発3、4号機については、規制委員会が設置変更許可を出しましたが、本命令によって再稼動することはできなくなりました。司法が現実に原発の再稼働を止めた今日という日は、日本の脱原発を前進させる歴史的な一歩であるとともに、司法の歴史においても住民の人格権ひいては子どもの未来を守るという司法の本懐を果たした輝かしい日であると思います」と高らかに読み上げた。
 声明は、「福島原発事故を直視し、すべての原発の再稼働を断念し、脱原発に舵を切ることを強く求めます」と結んでいる。


 規制基準は世界一?


 今回の決定の眼目は、高浜原発再稼働禁止を言っただけではない。原子力規制委員会の新規制基準自体を4点にわたって分析し、「緩やかにすぎ、これに適合しても本件原発の安全性は確保されていない。新規制基準は合理性を欠くものである」と断じたことだ。
 海渡雄一弁護士は、「規制基準を根本的に見直せと言っている。それを世界一だと言っているのは安倍首相だけ」と政府を批判、今後の闘いについて、「保全抗告の結果が出るまで1年から2年かかり、その間高浜原発は動かせない。今回は『担保金も認めない』と言っている。裁判所が『必要とされていない』と言えば不要だ」と今後の展望を示した。


 山動きたる日来る


 記者会見では申立人の「声明」も発表された。代表の今地晴美さんが「山動きたる日来る」という与謝野晶子の『青鞜』創刊号(平塚らいてう主宰)の言葉を紹介。「原発の裁判の歴史を塗り変えるであろう今日、この日、この時、この場に立ち会うことができたことに感動しています。そして、4月14日は、普通に暮らす市民の私たちでも、社会を変えることができるのだと実感した特別な日となりました」と述べた。
 そして、「フクシマの事故は、若狭とその周辺の住民にとって、決して他人ごとではありません。若狭の地は、リアス式海岸のすぐそばまで山が迫りくるオタマジャクシのしっぽのように細長いところです。そこに15基もの原発が集中立地している世界に類を見ない場所です」と、子どもたちの未来に思いをはせた。
 最後に、声明は「日本中に大きな喜びと感動をもたらしてくださった、樋口裁判長をはじめとする裁判官のみなさま」に感謝し、全国の仲間への闘いを訴えた。(滋賀・稲村守)


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