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2015.08.18 
被爆70年 長崎祈念式典
「非核三原則は堅持」
長崎県被爆者手帳友の会会長・井原東洋一


 被爆70年を迎えた長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典(長崎市主催)が8月6日の広島に続いて9日に約6800人が参加して開催された。外国からは、駐日大使らが過去最多の75カ国から出席した。田上富久長崎市長は、平和宣言で「戦争の危機感が急速に失われつつある」と危惧し、「悲惨な戦争の記憶を忘れてはならない」と指摘。政府には、「北東アジア非核兵器地帯設立」により「核の傘」から「非核の傘」への転換を求め、日本国のリーダーシップを強く訴えた。また、安全保障関連法案に関して、「平和の理念が揺らいでいる」と被爆地の懸念を表明し、「政府と国会には、不安と懸念の声に耳を傾け、英知を結集し慎重で真摯な審議を求めます」と読み上げると、会場から大きな拍手が湧いた。


 被爆者代表として「平和への誓い」を読み上げた長崎原爆被災者協議会の谷口稜曄会長は、死線をさ迷い苦闘してきた70年間を振り返り、「安保法案は、被爆者をはじめ平和を願う多くの人々が積み上げてきた思いを根底から覆そうとするもので許すことはできない」と訴えると、再び会場から鳴り止まぬ拍手が続いた。安倍首相は、広島では触れなかった非核三原則について、被爆者や国会で強く批判されことを受けてか長崎では「堅持する」と明言した。
 午後0時15分から開かれた「安倍首相と被爆者5団体」との意見交換会では、5団体を代表して長崎県被爆者手帳友の会・井原東洋一会長が、「人道的見地から政府の責任において被爆70年の今年こそ被爆地域の拡大・是正を図って欲しい。被爆二世問題も深刻だ」と要望した。
 続いて「安全保障関連法案」については、これまで幾度も公式に「撤回」を求めてきた経過を明らかにし、「戦争元年ともいうべき危機感を禁じ得ない」と指摘した。また、礒崎首相補佐官の暴言や、中谷防衛大臣の「核兵器も輸送可能」などの発言は、安倍首相の意を体した「確信犯」だと批判した。
 さらに、福島原発では、「ブロックされコントロールされているのは、深刻な被害情報であり、放射能汚染水がたれ流されていることは皆が知っている」と皮肉り、「原発再稼働には絶対反対だ」と言明し、支援連帯の態度を示した。
 被爆者団体は「沖縄県民の苦悩を共有している」ことも明らかにした。国境の島を数多く抱える長崎は、中国、韓国とは数百年も以前から、自治体と民間による友好交流が盛んに行われて来た歴史があり親密な関係にある。集団的自衛権行使などの必要性はない。首相は「対話の扉は常にオープンにしている」と言ったが、扉の前の深く広い溝を埋め、近隣諸国と仲良くすることは安倍首相自身の仕事だ」と指摘した。
 安倍首相は、「安保法案は、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要不可欠だ」と、国会答弁と同じ言葉を繰り返した。


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