沖縄県名護市辺野古の新基地建設作業を一時中断して8月10日から始まった政府と沖縄県の集中協議は、期限が2日後に迫った9月7日に行われた第5回の最終協議で物別れに終わった。沖縄県側から翁長雄志知事と安慶田光男副知事、政府側から安倍首相と菅義緯官房長官ら関係閣僚が出席した。
菅長官は「県の潜水調査が終わり次第工事を再開させていただく」と述べ、翁長知事は「あらゆる手段で阻止する」と表明した。当面の焦点は、沖縄県が7月の第三者委員会報告に基づき辺野古沿岸埋め立て承認を取り消す時期に移った。
集中協議は8月7日の翁長・安倍会談を仕切りに12日、18日、24日、29日、9月7日の5回。5回の協議で、問題の原点をどう見るかの歴史認識の溝が埋まることはなかった。
沖縄側は「戦後の米軍による強制収容されたことが原点」と指摘、政府は少女暴行事件を契機に米軍普天間飛行場の返還を確認した「19年前の日米合意(橋本龍太郎首相とモンディール駐日大使)が出発点」と主張。この見解は最終協議でも安倍首相が繰り返した。政府は辺野古新基地の米軍と自衛隊の共同使用を念頭に「辺野古が唯一」の方針を変えることはなかった。
だが、沖縄県民の「辺野古新基地建設反対」の意思は固く、8月5日に米軍キャンプ・シュワブゲート前で、新基地建設工事再開反対・前知事の埋め立て承認取消しの決断を求める3800人集会を開いた。
集会で稲嶺進名護市長は、「これまで通り力を合わせて辺野古を止める、高江を止める、戦争法案を止める、最低この3つを達成することなしに沖縄の幸せはない」と挨拶。
平和市民連絡会共同世話人の高里鈴代さんは、「この1カ月間、話はするがアリバイで工事は進めると言う。県民と翁長知事を愚弄するもの、許すことはできない。県の調査が終わっても作業を中断し、建設中止になるまでゲート前に結集しよう」と呼びかけた。
「ウチナー(沖縄)の尊厳を守ろう」と集まった参加者。「勝負はこれから。屈しない」と闘いを継続する決意を新たにした。
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