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2015.10.06 
反アベ政治 第2ステージ
さようなら戦争 さようなら原発


 日本を平和国家から戦争国家に大転換する安全保障関連法が自公等5党の数を恃んだ暴力的な参議院審議で可決・成立し、第189通常国会が閉幕した。この法律に国民の53%が「反対」し、79%が「審議が尽くされたと思わない」と批判する世論(共同通信)を切り捨てた安倍首相、最長18年9月までの長期政権を展望し、念願の明文改憲プログラムの実行に乗り出した。早速、来夏の参議院選向けに「アベノミクス第2ステージ」の花火を打ち上げ、国民の関心を安保から経済に誘導する愚民姿勢を見せつけた。しかし、民主主義と憲法を破壊する安倍政権の正体を見抜いた国民の主権者意識の高まりは衰えることなく、ノーベル賞作家の大江健三郎氏らが呼びかけた9月23日の「さようなら原発・さようなら戦争」全国集会は2万5000人が参加、「安倍政権退陣」を合言葉に盛り上がった。
 安倍首相は「安保国会」を「歴史的な国会」と総括し、「戦争法案、徴兵制になるという無責任なレッテル貼りが行われたことは残念」と異論と世論に敵愾心を見せた。だが、成立した安保関連法は、まぎれもない米国等の戦争に切れ目なく参加する違憲の戦争法だ。
 国民の間で法の廃止運動が始まっている。岩手県議会が廃止を求める意見書を可決した。今後、大規模な違憲訴訟も始まる。そうしたなか、政府は来年5月にも、南スーダンPKO (国連平和維持活動)に関連法を適用し、駆け付け警護の任務を追加、実行する。
 一内閣が憲法解釈の変更を閣議決定して成立させた戦争法。立憲主義破壊はここに始まり、「徴兵制を合憲とすることだって、たやすい」(阪田雅裕・元内閣法制局長官)。
 参議院特別委員会が大詰めを迎えた9月14日から19日未明の本会議採決までの5日間だけでも、国会前大行動に延べ18万5000人が参加した。「民主主義って何だ」「これだ」、「立憲主義って何だ」「これだ」。それは自立した個の叫びであり、怒りだった。ここに民主主義と立憲主義を取り戻す力がある。


 大江健三郎さん訴え


 戦後70年間を同じような思いで生きて、この数カ月の激動の時をいかに生きるかを何度も考えます。
 私が10歳のとき戦争が終り、その後の70年間は平和と民主主義の憲法の中で生きてきました。それがどんなに稀な、特別な時期であったことか。この憲法の下で長く続いた平和と民主主義が最も危険な転換期にあることを感じ取っています。
 この危機に対する抵抗に若い人たちや女性が参加しています。若い人たちの言葉は私たちとは違う新しい文体なのです。こういう人たちが新しい日本を担っていくんだと、もしかしたらこの人たちが平和と民主主義が崩壊する最大の危機を生き延びていかなくてはならない、そのなかで自分は何をしてきたかと思うのです。
 さようなら原発、さようなら戦争という美しい言葉に導かれてのことですが、私たちは日本を滅ぼし、アジアや世界を危機に陥れる恐ろしい成り行きが潜んでいることを自覚しないできたのではないか。困難な時代を若い人たちに託して死んでいきますが、若い皆さんは志を失わないで持続し続けて行かれることが最大の望みです。
 希望の兆候は見えています。若い学生や女性の発している言葉、文章は新しく、私たち戦後70年を生き、仕事をしてきた人間も深い思いにさせられます。彼らの新しい言葉に望みを託し、新しい困難を意識し、それを核心の一つにおいて生きていきます。
 皆さんの健闘を心から願っています。


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