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2015.10.13 
米原子力空母ロナルドレーガン 横須賀港に入港
戦争法施行を目前 市民ら配備に抗議


入港に抗議するヨコスカ平和船団=10月1日神奈川・横須賀港 
 アメリカ海軍の原子力空母ロナルド・レーガンが爆弾低気圧を避けて、急きょ10月1日に横須賀港(神奈川県)に入港した。2008年から今年の5月まで配備されていたジョージ・ワシントンの後継空母。集団的自衛権行使を可能にした安保関連法が国会で強行採決された直後の入港だ。原子力空母の配備に反対する市民が海上と湾岸で抗議行動を行った。整然とコールしているにもかかわらず、海上保安庁の船が後発の抗議船に突然、突っ込んでくる一幕もあった。恐怖を覚える一瞬だった。権力の威圧的行動は許されない。(神奈川・吉田明)


 ロナルド・レーガンは2003年から就役している原子力空母で、加圧水型の原子炉を2基搭載している。11年3月の東日本大震災の際には、他の7隻の艦船とともに災害支援「トモダチ作戦」に従事した。この震災当時の乗組員が福島第一原発事故で影響を受けたとして、東京電力などを相手取り米国内で提訴している。
 ロナルド・レーガンが横須賀港に入港したのは、午前8時半頃。原子力空母の配備に反対する「ヨコスカ平和船団」のメンバーら約20人が、3隻の船に乗り込み抗議行動を行った。
 船を操縦したTさんは、横須賀市在住で基地から5キロ圏内で暮らしている。「危険なものが生活の場に配備され強い憤りがある。観光で軍艦をみるのではなく、戦争をやるための武器として見てほしい」と訴えている。
 基地から約13キロの三浦市在住のWさんは、初めて抗議船に乗り込んだ。「全長333メートルのロナルド・レーガンに身震いした」「人殺しの道具であると同時に、事故が起きれば、原発と同じようにみんな被曝してしまう。人の命をないがしろにするもの」と不安を語った。


 トモダチ作戦に出動


 ロナルド・レーガンが搭載している原子炉は、福島第一原子力発電所相当の138万キロワットの熱出力とみられている。しかし、原発が受ける原子力規制委員会による規制の適用外だ。また、事故発生時の対策もほとんどなされていない。
 福島第一原発事故を受け、原子力規制委員会は、原子力災害指針を定め、原発で重大事故が起きた場合、半径5キロ圏内は直ちに避難と規定した。さらに、30キロ圏内も「UPZ (緊急時部御措置準備区域)」と定められ、避難計画などを定めるよう変更された。
 しかし、原子力艦船については、福島原発事故より以前に、国の中央防災会議が策定した「災害マニュアル」に基づき、毎時100マイクロシーベルトの放射線量を検知したら、半径1キロ圏内から避難すると定めているだけで、基準に大きな差が生じている。


 多くの市民は不安だ


 空母入港の翌2日には「10・2原子力空母ロナルド・レーガン横須賀配備抗議!母港撤回を求める全国集会」が横須賀市内のヴェルニー公園で開かれ、集会後、市内をデモ行進した。
 三浦半島地区労議長の佐藤さんが開会を宣言し平和運動センター代表の福田護弁護士が「この間の戦争法反対の闘いを通じて多くの国民が安倍政権の違憲の立法に怒りを爆発させた。今回の原子力空母の入港はこの戦争法の延長線にある。入港を撤回させなくてはいけない」と挨拶。
 中央の3団体から挨拶があり、現地の「原子力空母横須賀母港問題を考える市民の会」の呉東正彦弁護士が、1万人アンケートを実施したことを報告。「多くの市民は不安に思っている。半数は母港化反対だった。今後も横須賀市に安全対策の充実を求めていく。国やアメリカにも危険な実態を訴えていく」と決意を表明した。
 厚木基地爆音防止期成同盟の大波修二委員長は、「空母が来ると艦載機の離発着訓練が始まり、爆音に悩まされる。引き続き米軍機の爆音規制に向けて最高裁でも引き続き闘っていく」と連帯した。


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