民衆の声を聞く耳を持たず国家の意思を押し付ける安倍政権の独裁的体質は戦争法成立の過程でいやと言うほど見せつけられたが、今はその強権発動が沖縄に集中している。2020年10月までに5年間の辺野古新基地建設工事を終了し、早ければ22年度内に米軍普天間基地を返還するとする日米合意達成へ安倍政権は過去19年間の歴代政権が手を付けなかった本体工事に10月29日をもって着手した。「沖縄をバカにするな!」。沖縄県民は翁長雄志知事を先頭に憤りに燃えて法廷闘争を見据えた長期の闘いに入った。呼応して全国で戦争法廃止・辺野古に新基地を造らせない闘いが本格化した。
石井啓一国交相(公明党)は10月27日、翁長知事による辺野古埋め立て承認取り消しの効力停止を決定した。同時に、政府は知事の権限を取り上げ国交相が代行する代執行手続きに着手することを閣議で口頭了解した。
このセット決定に基づき、翌28日、国交相は翁長知事に対し埋め立て承認取り消しを是正するよう勧告、11月6日までの期限を設けて代執行手続きを開始した。また、国交相の「効力停止」を受けて沖縄防衛局は本体工事着手届出書を県に提出、本体工事を29日午前8時に開始した。
陸上部では護岸工事に必要なキャンプ・シュワブ内のヤード整備、石材・コンクリートブロック仮置き場の整備などに着工。海上では残った5カ所の海底ボーリング調査を再開。座込み478日目の同日、機動隊と激しくもみ合う体を張った阻止闘争が行われ、海上ではカヌーなどによる抗議行動が続いた。息つく間のない国の策略にあらゆる手段で対抗すると宣言した県。政府の効力停止は「私人」を騙って行われ、行政不服審査法違反とし、11月2日に国(総務省)の第三者機関である国地方係争処理委員会に申し立てた。
これに対して政府は、翁長知事の承認取り消しこそが違法であるとし、取り消しは「著しく公益を害」し、その「是正を図る必要がある」との論理を対置。「公益」とは、普天間飛行場の辺野古移設ができなくなり、同飛行場の危険性が継続すること、日米同盟に悪影響を及ぼし、外交・防衛上の重大な損害が生じることの2点。沖縄を日米同盟の「捨て石」にし続けることが「国益」と宣言したのだ。
政府の沖縄に対する公約破り、二枚舌、分断策は全面展開だ。前知事が埋め立てを認めなかった場合でも代執行は「検討していない」とする政府答弁(13年の照屋寛徳衆院議員の質問主意書に対し)を反故にした。埋め立てを承認した前知事との「留意事項」で約束した本体工事前の事前協議は破棄。同じく前知事との間で約束した普天間基地の「5年以内の運用停止」は無視。辺野古周辺の久辺3地区に県と名護市の頭越しに基地対策費を交付することまで決めた。
沖縄と本土の差別・分断も露骨だ。中谷防衛相は27日に佐賀県を訪れ、米国と地元の理解が得られない中、米海兵隊オスプレイ配備は取り下げ、自衛隊オスプレイ配備は協議することにした。
前後して菅官房長官は29日、在沖海兵隊4000人が移駐するグアムを訪問、普天間移設・新基地建設の根回しを演出。27日にはオバマ米大統領が、横須賀海軍基地配備のイージス駆逐艦を中国の南シナ海人工島12カイリ内を航行させた。
激動する沖縄情勢の中、「止めよう!辺野古埋め立て国会包囲実行委員会」は29日、「埋め立て着手を許さない緊急集会」を東京都内で開いた。大城悟沖縄平和センター事務局長の断固闘う意思を受け止め、連帯した。
新基地を造らせない大集会
11月29日(日)13時30分開会
場所・東京日比谷野外音楽堂
主催・国会包囲実行委員会
協力・総がかり行動実行委員会
|