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2015.12.15 
カードはもらわない 番号は忘れる、書かない
実におそろしい管理社会うむ個人番号制度


 個人番号(マイナンバー)の通知が届くのが遅れに遅れ、制度は出だしからつまずいた。番号カードは税と社会保障に使い、国民の暮しは便利になるというが、やがて事業や行政手続き、日常生活で義務付けられ、国家が国民を監視する1億管理社会になりかねない。同時に消費税10%への増税へ軽減税率導入のまやかし談議が花盛り。折から「個人番号制度と消費税増税」と題し元静岡大学教授で税理士の湖東京至氏の講演会が11月25日、千葉県松戸市であった。主催したのは増田かおると子どもの未来の会、市民自治をめざす1000人の会、憲法を生かす会・松戸の三者。概要を4回にわたって連載する。(文責は編集部・樋口)


 今話題の共通番号カードが簡易書留で各家庭に来ていますが、留守にして届いていない人はもらいに行く必要はありません。この共通番号(マイナンバー)制度はウルトラがつくほど悪い仕組みです。
 ところが、いかにも番号カードをもらいに行かなければ暮らしができないような錯覚に陥る雰囲気があります。しかし、もらいに行く必要はありません。
 すでに年末調整が始まって、扶養控除の申請書が配られ、共通番号を書いてくださいと書いてあります。これが政府から皆さんへの最初のアクションです。皆さんは番号を書かなくていい、番号を要求しなくていい、今まで通りにしていていいのです。
 事業者から番号を届けるように言われても、働いている人は「わかりません」と言って番号を提示しないことをお勧めします。そうやって番号カードを形骸化したいものです。
 NHKなどは、中小事業者は扶養家族の番号まで入れなさいと言っています。しかし、罰則はありません。国税庁のQ&Aは書いていなくても書類は受理します、書かなくても税法上の罰則規定はないと明言しています。
 どうしてそうなるのか。事業者には強制的に番号を集める権限はないからです。仮に働いている人が持ってきたら金庫に保管し、誰にも見られないようにしなければなりません。もし、不用意に漏らすと懲役です。そして働く人が退職したら、番号を廃棄しなくてはなりません。
 これは番号の民間利用といって、民間に利用させて官庁である税務署が共通管理することが狙いです。税務署にはメリットがあっても、皆さんにはメリットは全くありません。
 たとえば、ハローワークに月2回行って雇用保険をもらっている人の場合、ハローワークに個人番号を登録すると年末調整をするとその番号に全ての情報が入力されます。そこでアルバイトをしていることが判明すると、雇用保険がストップします。
 サラリーマンでもちょっと文章を書くことが好きな人が、短文を書いて原稿料をもらうと番号が記録され、税務署に通知されます。税務署は居ながらにして皆さんの全ての所得が把握できて課税漏れがなく、税務署はこれはいい制度だと考えています。ほんのちょっとのバイトまで申告するのか、というのが庶民の感情でしょう。
 番号カードは診察券としても使われます。病院の窓口で健康保険証の代りに使われて全ての病歴が記録されます。子どものときから何歳で何の病気をしたかも番号カードに集積されて、就職のときにも使われます。
 また、皆さんが払った健康保険料と国庫負担のバランスシートが番号カードにより一目でわかり、あなたはこれしか保険料を払っていないのにこんなに税金をもらっているということで医療費が抑制されます。


 憲法違反の個人番号制
 百害あって一利なし
 形骸化させ、廃止を!



 一度でも保険料滞納がカードに記録されると銀行の融資が受けられない、サラ金で借りて返済が滞ったことがあると融資してくれないということが起きます。銀行は、あと3年はキャッシュカードと番号カードを任意で兼用するが6年後には番号カードを強制するといわれています。通帳の番号に個人番号が入り、全てのお金の出し入れが国家に管理されるのです。
 マイナンバー制度のための立ち上がり資金は3000億円、運用に毎年300億円かかります。この制度は結局、国民一人ひとりのプライバシーを侵害して政府の気に入らないことをした人をチェックする仕組みです。実に恐ろしい管理社会を生む制度です。
 来年の確定申告の書類には個人番号を書く欄があります。番号カードはもらわない、番号は忘れる、聞かれても答えない、知らないと言う、そういう人が8割から9割になったら、番号カードは住基カードと同じように形骸化します。
 政府は番号カードを脱税者をなくすためにあると言っていますが、実際はそういうものではありません。これからいろいろな問題が出てくると思います。



国税庁のQ&A(抜粋)
@申告書や法定調書等の記載対象となっている方すべてが個人番号・法人番号をお持ちとは限らず、そのような場合は個人番号・法人番号を記載することはできませんので、個人番号・法人番号の記載がないことをもって、税務署が書類を受理しないということはありません。
A税務関係書類を税務署に提出する際に、個人番号・法人番号を記載しなかった場合や誤りがあった場合、税法上罰則規定は設けられていません。
B本人に対し交付する給与所得の源泉徴収票、退職所得の源泉徴収票、公的年金等の源泉徴収票などは特定個人情報の提供制限に該当するため、個人番号を記載することはできません。


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