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  4. 2017.2.14
 
長時間労働の上限規制こそ
働き方改革


  総がかりで実現へ


 電通での3件目の過労死を機に長時間労働への批判が高まる中、安倍政権は「長時間労働撲減」を叫び始めた。検討されている中身が果たして「長時間労働撲減」と言えるのか、検証する


 安倍晋三首相は今国会冒頭の施政方針演説で「三六協定でも超えることができない罰則付きの時間外労働の限度を定める法改正に向けて作業を加速する」と表明した。政府は「働き方改革」の実行計画について3月をめどにまとめるとしている。
 しかし、その内容たるや時間外労働の限度について、過労死ラインと同じような「月平均60時間(年間720時間)」で検討しているといわれる。その前には80時間が検討されていたといわれ、過労死労災認定のラインを超えるもととして激しい批判を浴び、修正を余儀なくされた。しかも、「繁忙期の最大100時間」は残ったままだ。発症1カ月前おおむね100時間は過労死や脳・心臓疾患の労災認定基準だ。
 労働基準法32条は、「週40時間」「一日8時間」を超えて労働者を働かせてならないと明記している。ところが労使協定を結んで届け出れば労働時間を延長し、休日労働させることができるという規定36条(三六協定)がある。残業時間は、「大臣告示」で「週15時間」「月45時間」「年360時間」という限度基準があるが、「特別な事情があれば無制限に延長できる規定になっていた(特別条項)。
 これが世界的に見ても異常な長時間労働=働き方を許してきたのであり、ILOや世界各国から批判が相次いでいる。日本の異常な長時間労働の是正は、社会の強い要請であるとともに、国際社会の強い要請でもある。
 ところが、安倍内閣は「長時間労働撲減」を叫ぶ一方で、際限のない長時間労働を労働者に強いる法案・ホワイトカラー・エグゼンプション(WE)を出している。WEは、第一次安倍政権の時に法制化を目論んだが、「残業代ゼロ制度」「過労死促進法」と労組や市民から強い批判を浴び、撤回に追い込まれた。
 撤回後もこの制度は「家族団らん法」などと名称を変え、今度は「高度プロフェッショナル制度」(内閣府命名)という厚化粧を施して再登場した。中身は撤回した前回の法案とほとんど変わらない。
 高度で専門的な仕事をして、一定の年収を超える人が制度の対象となり、対象者は労基法の労働時間規制から除外されるというのが制度の骨格だが、「小さく産んで大きく育てる」のが経団連や政府の常套手段だ。騙されてはいけないのだ。長時間労働の上限規制を目指して「総がかり」で闘おう。



 
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