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  4. 2017.3.07
 
福島6年の現状
国は露骨に棄民


  國分富夫さんレポート

  限界超えた被害者の苦しみ


 福島第一原子力発電所の大事故から6年。今年も福島県をはじめ、全国各地で脱原発の集会や行動が行われる。福島県の原発事故避難者は未だ7万9千人。その避難者の苦悩に寄り添いながら、東電の賠償責任を追及し、裁判を続けている原発事故被害者の國分富夫さんが6年目の実態を明らかにする。
 原発事故避難から6年。外部からは平穏に見えるかも知れない国は何もなかったかのように覆い隠したいという意図が見え見えだ。その一つに避難解除の問題がある。避難解除しても戻るのはほとんどが高齢者で、一向に帰還者は増えず、若い人はほとんど帰らない。復興庁は1月31日、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故による避難者が12万7千人と発表した。
 原発事故で強制避難させられ、ふる里を追われ移住した人は多い。未だに約4万人いる県外避難者が減らないのは、安心安全な生活を求める若い人たち、とくに子育て中の人々は定住を選択していると見られる。 国や自治体は「この人たちは定住したのだから避難者ではない」と言いたいようだが、好んで避難し、好んで定住を決めたわけではない。帰りたくても帰れないのであり、自分たちは定住しようがしまいが避難者であるとの思いは強い。

 安全な数値はない

 放射能被曝問題で国、市町村は御用学者を巧みに使い年間20ミリシーベルト以下なら安全と、自治体の広報を使って宣伝している。しかし、年間20ミリシーベルトという値は、原発など放射線管理区域で働く作業員と同じ制限基準になるが、これで我慢しろと言うのか。放射能に関してはこれで安全という「しきい値」はないのだ。
 被曝させられた住民は生涯放射能と向き合って生きていかなければならない。理不尽なことであるが、それでも前向きに生きていこうと努力している人、耐えきれず自死してしまう人、原発被害者はもう限界にきている。
 被害者を分断して 私が関わっている東電に対する賠償裁判の基本は、原発事故により全てを奪われた訳だから東電は賠償するのは当然であり、被害者にはなんの落ち度もないということだ。裁判は続いており、21回の口頭弁論が開かれた。
 原子力損害賠償紛争審査会は加害者主導の賠償システムで被害者を分断している。一部の被害者には賠償し、別の被害者には賠償しない。賠償を受けた人は賠償されない人たちからは怨嗟の的になり、あたかも特別待遇を受けたかのように肩身を狭くする。
 同じ被害者でありながら避難指定が解除され、賠償が打ち切られる。安倍内閣は20年のオリンピック・パラリンピックまでに帰還困難区域を全て解除し、何もなかったかのようにしようとしている。



 
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