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  4. 2017.06.27
 
共謀罪法成立強行
廃止の闘い開始


 自民・公明の与党と維新の会は6月15日早朝、参院本会議で「合意」を罰することで内心の自由を奪い、近代刑法の原則を根底から覆す共謀罪法案(組織犯罪処罰法改定案)を採決、成立を強行した。安倍政権による違憲立法=秘密保護法・戦争法制に続く共謀罪法の廃止に向けた闘いが始まった。一方で「森友・加計」疑惑を徹底究明する闘いも続く。


 共謀罪法は、憲法と基本的人権を真っ向から否定・踏みにじる極め付きの悪法だ。
 犯罪の合意があった瞬間に共謀罪が成立するというのだが、「合意」の意思や考えは気持ちの延長線上にあり、客観的には誰にも見えず、警察など捜査機関の盗聴・監視によって内心を取り締まることになる。そのため国民の自由な意見表明や言論・報道が委縮する効果をもたらす。
 共謀罪法は、「犯罪の既遂や未遂を罰する」という近代刑法の大原則を根底から否定・覆し、刑法体系に深刻な矛盾を持ち込むことになる。犯罪の実行前の段階でも2人以上で計画し、そのうちの1人が「実行準備行為」をしたと捜査機関がみなせば、全員処罰できるのだ。
 何が犯罪なのか明確でない状況で判断するのは警察であり、権力の恣意的捜査が可能となる。しかも密告すれば自分の罪が軽くなる司法取引や、摘発するための広範囲な盗聴も既に準備されている。
 共謀罪法は、国会審議を通じて金田勝年法相が辻褄の合わない答弁を繰り返すなど迷走を続けた欠陥法だ。277の犯罪に共謀罪を適用する根拠は全く示されていない。
 一方、犯罪実行前段を処罰する予備罪などは、一部の重罪に限ってすでに存在する。陰謀罪8罪、共謀罪13罪、予備罪37罪、準備罪8罪がある。
 組織犯罪について広範な処罰がすでに可能な法体系があるにもかかわらず、「東京五輪・パラリンピックのためのテロの未然防止」を口実にして治安維持法に通じる危険な本質を覆い隠しての成立強行は、「戦争への一里塚」との懸念が国民の間に広がっている。
 さらに政府・与党が法案審議で見せた立法府軽視・議会制民主主義否定の暴挙は決して許されない。とりわけ参院法務委での審議途中で、「中間報告」と称して本会議での採決を強行したことは憲政史上最大の汚点の一つとして記憶され、断罪されなくてはならない。



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