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防衛費の概算要求 過去最大に |
武力背景の安倍外交 |
防衛省は来年度の防衛費概算予算要求を5兆2551億円とすることが8月22日、明らかになった。前年度に比べて1300億円(2・5%増)の過去最高で、6年連続の伸びとなる。社会保障費をはじめ国民生活に直結する予算が削られる一方で、増加する軍事費に歯止めをかけるには、安倍政権の武力を背景とした安全保障・外交政策を転換し、憲法前文と9条を基調とした平和外交に徹することだ。
日米の外交・防衛閣僚で構成する「安全保障協議委員会」(2プラス2)が8月17日にワシントンで開かれ、日本側から河野太郎外相、小野寺五典防衛相、米側からレックス・ティラーソン国務長官とジェームズ・マティス国防長官が出席した。協議では日米同盟の強化、米国の核の傘の担保の確認とともに米の安全保障政策への日本の一層の協力とアジア太平洋地域での日本の役割分担の強化が確認された。
共同発表は、「日本は、次期中期防計画期間を見据え、同盟における役割の拡大と防衛能力の強化を意図」、「米国は、最新鋭の能力の日本への展開にコミット」とし、日本は最新兵器の配備が求められている。 これを受けるかのように防衛省の概算要求では、中国や朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)を仮想敵国とし、朝鮮に対しては日本の弾道ミサイル防衛システムの関連整備・取得費等(約1000億円)、陸上イージスシステム2基導入(1600億円)が計上された。
中国の「海洋進出」に対し、南西諸島防衛の施設整備費(552億円) をはじめ護衛艦、潜水艦の巨額の建造費などが計上された。また、最新鋭ステルス戦闘機F35を6機取得するために881億円も含まれる。さらに、来年度に新設する予定の「宇宙部隊」のために衛星破壊兵器を含む関連経費196億円も組み込んだ。
防衛省は一方で15年7月、軍事技術開発のために競争的資金制度(1件当たり3000万円を上限)の募集を開始し、大学や研究機関を巻き込んだ軍産学連携に踏み込んだ。また、耐久性の高い繊維、超高感度カメラ、振動防止の緩衝剤など、中小企業の軍事転用技術調査も始めた(東京新聞8月15日朝刊)。
15年10月に発足した防衛装備庁(装備開発、生産、国際協力など基盤づくり)は、14年4月に閣議決定した新たな防衛装備移転三原則(武器輸出解禁)を受けて武器の売り込みを行い、今年6月19日のパリ航空ショーに「P1」固定翼哨戒機をデモ展示し、日本の川崎重工が16年度末に35機受注している。
また、「敵基地先制攻撃」の名による防衛戦略の重大な変更と、新たな武器の調達も選択肢としている。
朝鮮や中国の「危機」をマスコミや、Jアラート(全国瞬時警報システム)で煽って軍事費を拡大し、米国のネオコンや日本の財界・軍需産業は膨大な利益を受けるが、国民生活の向上につながるはずもなく、戦争で被害を受けるのは庶民であることを歴史から想起しなくてはならない。
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