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厚労省の概算要求 |
要求額は最高でも 国民の負担は増へ |
防衛費の2018年度予算の概算要求が過去最大で、軍事大国へ暴走する安倍政権の姿が露骨になる中、厚生労働省の概算要求も過去最大となった。社会保障費を増やすことは、少子高齢化の中では当然だ。社会保障は、人々の健康を守り、生活を安定させるためにある。ところが日本の社会保障は、政府が予算増を圧縮しているため現状維持どころか、負担増のため国民は不安を強めている。
厚生労働省は8月25日、来年度(18年度)予算の概算要求を発表した。
一般会計は31兆4298億円で、17年度当初予算に比べ7426億円(2・4%)増、要求額では過去最大となる。その内、年金・医療等に係る経費は29兆4972億円で、17年度当初予算に比べ6491億円(2・3%)増となっている。
年金・医療等に係る経費の内訳は、年金が11兆5705億円(1517億円増)、医療で11兆8348億円(3052億円増)、介護で3兆815億円(1006億円増)、障害福祉で1兆7260億円(1162億円増)、生活保護で3兆90億円(386億円増)となっている。
財務省査定で減額
昨年の概算要求は、一般会計では31兆1217億円で8108億円(2・7%)増、年金・医療等に係る経費は29兆1060億円で6601億円(2・3%)増だった。
しかし、財務省査定で減らされ、29年度予算は一般会計で30兆6873億円(概算要求より4344億減、前年度予算比で3763億円増)に、年金・医療等に係る経費は28兆8481億円(同2579億円減、4022億円増)になった。
社会保障費の自然増は、高齢化に伴う年金、医療、介護等の経費で年1兆円増が必要とされる。この自然増に該当する経費と判断される「年金・医療等に係る経費」は、17年度予算では4022億円に圧縮された。
その原因は、社会保障費増を16~18年度の3年間、年5000億円以内に抑制する安倍政権の「骨太の方針2015」だ。社会保障費の自然増1兆円は、概算要求段階で6000億円台に抑制され、査定で4000億円台に圧縮される構造になっている。
このことが、医療や介護の保険料、自己負担の増大をもたらしている。
医療・介護崩壊に 先の通常国会で介護保険制度が改悪され、保険料や自己負担増が決まった。さらに、来年度(18年度)は医療報酬と介護報酬の同時改定が行われる。報酬が引き下げられれば、医療や介護の崩壊が進行する。引き下げでなく据え置きでも、保険料の引き上げが想定される。
安倍政権のこの間の社会保障を巡る動きは、「給付の削減と負担の強化」が基調だが、求められるのは社会保障の予算を増やすことだ。来年度予算に向けて、国会内外の取組みを強める必要がある。
一方で、厚生労働省は電通の高橋まつりさんの過労自殺への批判を受け、違法な長時間労働を取り締まるため労働基準監督官100人の増員を予定している。
また、保育所の待機児童解消に向け、18~20年度で22万人分の受け皿をつくる「子育て安心プラン」に基づき、18年度は9万人分の整備費として1397億円を計上している。
アベ手法に要注意 だが、注意すべきは、安倍政権は改善点を小さく実施し、「やった、やった」と自画自賛、改悪は大胆に強行して頬かむりすることだ。騙されないように、しっかり見極めることが重要である。
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