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  4. 2017.11.28
 
朝鮮と少子高齢化を「国難」
改憲論議の加速促す 

 開会中の特別国会・衆参両院で11月17日、安倍晋三首相は所信表明演説を行った。演説は首相が言い続ける2つの「国難」から始まり、改憲に向けた与野党の論議の加速を促した。また、「生産性革命」「人づくり革命」と銘打ち、幻想と期待を抱かせようと、“改革者”を演出したが、反国民的な手法の底は割れている。
 安倍首相は演説で「緊迫する北朝鮮情勢」と「急速に進む少子高齢化」を上げ、そのための施策を並べたが、日本が直面する様々な問題を根本的に捉え返すことはなかった。
 首相の言う「国難」で衆院を解散する根拠は全くなかった。「少子高齢化」は降って湧いた問題ではない。01年に「待機児童ゼロ作戦=仕事と子育て両立支援方針」が策定され、06年に小泉内閣が「少子化対策担当相」を置き、安倍内閣が引継いで10年が経過した。
 安倍首相は今年、「待機児童ゼロ」のプランも放棄してきて、いまさら「国難」と言うのは天に唾するものだ。安倍首相は、なぜ少子高齢化社会になってしまったのか、なぜ介護、福祉、保育を支える労働者が不足しているのか、自問したことすらないだろう。
 また、「緊迫する北朝鮮情勢」と煽ってきたが、安倍政権の外交・安全保障政策には「制裁と圧力」、高価なミサイル防衛システムの購入などしかなく、対話による解決という「選択肢」はない。
 支持率を気にする安倍首相は、演説で政治姿勢の変化を演出した。09年に自民党が下野した反省を述べ、「国民の声に耳を傾ける」「謙虚さ」という言葉を並べ立てた。
 改憲について「20年新憲法」のプランを隠し、与野党の枠を超えた「建設的な論議」と「互いに知恵を出す」ことを呼びかけた。
 その一方で、自身が総裁を務める自民党の国会対応は極めて強権的。国論を二分する重要法案の強行採決や、野党の質問時間の削減要求などは、内閣に対するチェック機能を果たすべき国会の形骸化と、民主主義の否定につながるものだ。
 また、剥げたメッキであるアベノミクスの成果を統計で自慢げに並べ立てたが、これらの数字のまやかしもすでに明らかだ。
 国民が真相究明を求めている「森友・加計疑惑」問題には、ただの一言も触れなかった。だが、心ある国民が事件をうやむやに終わらせることはない。
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