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  4. 2017.12.12
 
野望実現へ安倍首相の思惑
米復帰へ合意急ぐ 

 ドイツで開かれていた国連気候変動枠組条約第23回締約国会議(COP23)が、11月18日閉幕した。その中で、ドイツの環境団体「ジャーマンウォッチ」は先進国に「化石賞」、米国は「特別化石賞」とし、日本は名指しされた上、「化石賞」の受賞となった。世界が気候温暖化対策で「脱炭素」に向けて動く中、逆行しているからだ。温暖化の主要な要因とされる二酸化炭素の排出量を抑制する「脱炭素」社会の実現は待ったなし。逆行する米国や日本の動きに非難は増すばかりだ。


 地球温暖化の世界的防止に向けて1994年3月に「気候変動に関する国際連合枠組条約」が発効し、95年以来条約締約国会議として開かれてきた。
 今回のCOP23は2016年11月4日に発効した地球温暖化対策に取り組むための国際的な枠組みである「パリ協定」をどう具体化するかを協議する場。パリ協定は、今世紀後半には「実質排出ゼロ」の目標を掲げる。
 温室効果ガスの排出量を削減するため、13年にポーランドで開かれたCOP19は、その目標案の提出期限を15年3月末と定め、世界の排出量の約3分の1にあたる国々が目標案を提出した。


 問題は、この目標をどのように国際的な合意の枠組みとして達成するかだ。COP23は3年以内に完全施行されるパリ協定のルール作りを進め、来年ポーランドで開かれるCOP24で、各国の取組みを評価し、20年を目途にルールを策定することで合意している。
 だが、温室効果ガスの削減に「先進国」は消極的だ。97年の京都議定書では途上国を除外し、先進国のみ温室効果ガスの削減が義務付けられた。それを巡り、不参加や離脱する国、批准しない国などが出た。当時、二酸化炭素排出量が世界の36%を占めた米国は01年に離脱。京都議定書は採択から発効まで7年かかり、日本は02年に締結した。
 そして、15年12月のCOP21のパリ協定は196カ国が参加し、途上国を含むすべての国に温室効果ガスの削減採択と5年ごとの点検を義務づけ、1年足らずで発効した。
 だが、トランプ米大統領は17年6月、パリ協定は「不公平」と離脱を宣言、「国別目標の履行や、緑の気候基金への拠出を中止」と表明した。オバマ前政権が温暖化ガスを「25 年までに05年比で26 ~28%削減する」と国別目標を表明し、途上国の温暖化対策を支援する緑の気候基金に30億ドル(約3300億円)拠出を約束したのを白紙にした。


 ところで、ドイツの環境団体「ジャーマンウオッチ」が日本に「化石賞」を授与したが、その理由は国際協力銀行がインドネシアの石炭火力発電所の建設に7億ドルの融資することに対する「授賞」だ。
 石炭火力発電から、中国やインドなど多くの国が撤退する中、日本は依然として高効率石炭火力に依拠するエネルギー政策を維持してきた。政府の14年4月の第四次「エネルギー基本計画」では石炭火力を「安定供給・経済性」を理由に「効率化技術」を「海外でも導入を推進」とし、国内40基の建設を後押してきた。 電力各社の17年度計画では今後10年間で16カ所を計画している。ところが、環境省が千葉県市原市の火電をはじめ5カ所の建設を温暖化への配慮と電力需要の減少を理由に否定的な評価をし、石炭火力が重要な「ベースロード電源」とする施策に疑問を投げかけた。どんな高効率石炭火電でも二酸化炭素を排出し続け、地球温暖化を加速するからだ。


 留意しなければならないのは、高効率石炭火力を否定的に扱いながら原発に戻ろうとする動きだ。第四次エネルギー基本計画で原発を「重要なベース電源」と位置付け、「化石燃料」に対し、原発を「クリーンエネルギー」の名で重要な電力構成とし、30年には原発比率を20%~22%とする計画は許されない。
 全地球を覆う排出効果ガスによる温暖化に対し、「再生可能エネルギー」の社会を目指すことは人類の課題だ。
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