2018.05.08
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歴史的な転換へ |
南北首脳会談 平和を開く |
『板門店宣言』を発表
韓国の文在寅大統領と朝鮮民主主義人民共和国の金正恩委員長は、4月27日に板門店で首脳会談を行い、「朝鮮半島でこれ以上戦争がなく、新たな平和の時代が開かれたことを8千万人のわが民族と全世界に厳粛に宣明」する「板門店宣言」を発表した。歴史的な転換が始まった。「板門店宣言」は、
一、「南北関係の全面的で画期的な改善と発展」によって「途切れた民族の血脈を結び…自主統一の未来を早める」ために、高位級会談、交流・協力のための共同事務所設置(北の開城に)、国際競技などへの共同参加、離散家族問題の解決、鉄道と道路の連結など。
二、「戦争の危機の解消」のために、一切の敵対行為の中止、平和水域の設定と安全な漁業活動の保障、軍事当局者会談の頻繁な開催など。 三、「休戦状態を終息させ、確固とした平和体制を樹立」のために、武力不使用の不可侵合意を再確認し順守、段階的な軍縮の実現をあげ、さらに「今年に終戦を宣言」し「休戦協定を平和協定に転換」し、恒久的で強固な平和体制構築のために南・北・米または・南北・米・中会談の開催推進、「完全な非核化を通じて核のない朝鮮半島実現」等を列記した。
また、「北側の主導的な措置が朝鮮半島の非核化のために意義があり重大なものであるという認識を共にし、それぞれの責任と役割を全て果たす」、「両首脳は定期的な会談と直通電話を通じ…随時真摯に議論」し、文大統領は今秋に平壌を訪問することを明記した。
両首脳は共同記者会見を行った。文在寅氏は「非核化と恒久平和、民族の共同繁栄と統一に向かう揺るぎない日程表」を「南北の国民と世界に素晴しい贈り物」と呼んだ。そして「北の最高指導者が世界のメディアの前で共同発表するのは史上初だ。大胆で勇気ある決定を下した金正恩委員長に拍手を送る」と述べた。
金正恩氏は「我々は戦うべき異民族ではなく、仲良く生きるべき一つの民族だ」「これまでの合意のように、履行できないことがないよう…必ずいい結果が出るように努力する」と述べた。
1カ月ほど後には米朝首脳会談が予定されている。半島の非核化にせよ、朝鮮戦争平和協定にせよ、朝鮮戦争の最重要当事者であり、その後も強大な核軍事力で威圧してきた米国政府が、画期的な「板門店宣言」にどこまで譲歩し応えるかが問われる。
中・露はもとより世界各国、国連事務総長も歴史的快挙を歓迎している。トランプ米大統領も「歴史的な会談」「朝鮮戦争は終わろうとしている」とツイートした。この間一貫して文大統領の努力に水を差してきた安倍晋三首相は苦虫をかみつぶした表情で「歓迎する」と述べたものの、安倍外交の失態は隠しようもない。
朝鮮の核を巡る動き
1991年 朝鮮半島非核化共同宣言
1993年 朝鮮がNPT脱退表明
1994年 米朝で核開発凍結・NPT復帰を確認
2000年 初の南北首脳会談
2003年 朝鮮がNPT脱退表明
2006年 朝鮮が初の核実験
2007年 南北首脳会談
2017年 トランプ政権発足、文政権発足
2018年 2月・平昌五輪、3月・南北首脳会談合意、
4月・南北首脳会談、6月上旬までに初の米朝首脳会談
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