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2018.07.24
 
西日本豪雨災害
死者の半数は広島
山下真澄・広島県議が報告
  西日本を襲った7月豪雨の死者は16日現在219人、安否不明19人。16府県で5000人近い人が避難生活を余儀なくされている。中でも広島県は死者108人と半分近くを占め、重傷者は22人にのぼる。家屋は全壊152棟、半壊128棟、一部損壊389棟、床上浸水2402棟、床下浸水4358棟だ。甚大な被害は、国の自治体政策や規制緩和の問題点を浮かび上がらせている。被災者救援に奮闘する山下真澄・広島県議に報告してもらった。

 人的被害と住家の全半壊が発生した現場のほとんどは、山腹の崩壊によって大量の土砂や樹木が住家を押し潰しており、2カ月前に完成した砂防ダムを土砂が乗り越えた所もある。浸水被害は12河川での堤防決壊と63河川からの越水、12 カ所で発生した溜池の堰堤決壊が原因となった。

 私の自宅がある福山市神村町では大規模な土砂崩れが3カ所で発生(写真)し、住家4棟が全壊、5棟が一部損壊した。全壊した住家では1人が生き埋めになり、消防に救助されたが重症を負った。また、小規模な土砂崩れは町内だけで40カ所ほど発生し、道路の陥没や水道管の破損などの被害も出ている。

 今回の甚大な被害は、観測史上最高の降雨量と、土砂災害危険区域が全国で最多という広島県の地質(水分を含むと崩壊しやすい花崗岩層が県内全域に分布している)が原因だが、行政上の瑕疵(かし)という側面も否定できない。

 人口の急増期に山の斜面を開発して多くの住宅地が造られたが、谷にあたる場所に建てられた家屋も少なくない。4年前に大きな被害が発生した広島市をはじめ、今回、呉市や安芸郡坂町など死者が出た地域でも、大量の土砂が一気に流れ落ちる危険性がある場所への建築を許可したことが大きな被害をもたらした遠因とも言える。

 豪雨被害発生時点から1週間が過ぎた時点でも、被害の全体像は把握しきれていない。被害が広範囲に及んでいることが最大の原因だが、いわゆる平成の大合併(86市町村が23市町になった)によって自治体の職員数が少なくなったこと、とくに地域密着型の行政サービスを担う支所の機能が大きく低下したことも影響している。 

 これからは、被災者への支援と被災箇所の早急な復旧が大きな課題だ。機体だけで1機100億円、諸経費を加えると1機200億円を超えるオスプレイ17機導入の費用を、災害対策に回せという声を安倍政権にぶっつけていかなければならないと決意している。