|
国民欺く演説 |
安倍首相 改憲へ強い意欲 |
第196通常国会が1月22日開会した。安倍晋三首相の施政方針演説は多くを「働き方改革」「人づくり革命」に割き、「北朝鮮への対応と日米同盟・防衛力強化」に言及、改憲は最後の1分たらずだが、自民党の議員総会では「改憲実現の時」と強い意欲を示した。
「国難に打ち勝つ」
首相は冒頭、「明治維新で国難に打ち勝った」と述べ、少子高齢化などの危機を「新たな国づくり」「一億総活躍」で乗り切ろうと声を張り上げた。そして、「労基法制定以来の大改革」として「働き方改革」に熱弁を振るった。
同一労働同一賃金
「非正規という言葉の一掃」「長時間労働規制」を強調、「時間ではなく成果による賃金」「テレワークなど新しい働き方」など賃金や雇用の枠組み自体を変えたい本音も口にした。
「人づくり革命」では、「全世代型社会保障」として保育条件整備、女性活躍、貧困家庭の子ども支援などを強調。幼児教育無償化の財源は、財政再建に使うが公約の消費税増税分2兆円と合わせ「経済界からの拠出を増やす」と述べ、消費税増税や格差への反発を和らげようとした。
「国力増強」を優先
首相は、「4年連続で2%賃上げ」を強調したが、大企業の一部に過ぎず、今春闘で「3%以上賃上げの企業は法人税引き下げ」とし、赤字と人手不足に苦しむ中小零細企業には何の利益もなく、中小零細の淘汰を進め、「国力増強」に役立つ大企業労使のみ優遇する。
生活保護家庭の進学の支援策を口にするが、給付引下げによる深刻な現実は隠蔽。大学の選別は露骨で、「人づくりに協力する大学に限り補助を拡大」と明言、国家・企業のニーズに応えない高等教育は切って捨てる。
「戦後最も厳しい安全保障環境」との常套句を反復し、「北朝鮮には日米同盟で毅然として対応する」と述べ「対話」の一言もない。韓国の対北対話路線の前進も無視。さらに諸経費含め一基1000億のイージスアショア購入を公言。「年末に向け、防衛大綱の見直しも進める」と述べ、「従来の延長線上ではない防衛力の強化」と軍事費の一気増大を宣言した。
新装アベノミクス
このように危機を煽るが、憲法には「50年100年先を見据えた国づくり」のために「各党が改憲の具体案を持ち寄ることを期待」と述べただけ。しかし、同日の自民党議員総会で安倍総裁は「実現の時」と改憲への強い決意を表明した。
改憲に本気ゆえに「企業活性化でトリクルダウン」の従来型アベノミクスだけでなく、「働き方改革」「全世代型社会保障」など雇用と暮らしに注力するポーズで民心を引きつけようと懸命なのだ。9条改憲の悲願達成へ「財政均衡」には目もくれず、「景気浮揚」に専念する。
立憲野党が改憲反対と合わせ、所得再分配の有効な対抗政策を打ち出すことが求められている。
|
|
|
|