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自民党改憲案 必要性ゼロ |
合区・教育 重大な問題 |
自民党の改憲推進本部は3月25日の党大会に向けて「改憲4項目」案の確定作業に入っている。2月16日に「合区解消」を口実とした憲法47条〈両院の議員の選挙〉改定案を固め、21日には教育条項(26条)の改定案を確定した。47条も26条は改定の必要は全くなく、重大な問題をはらんでいる。
衆院の制度改悪も
「合区解消」を名目とする47条改定は、「一票の格差解消」要求への居直り強盗のようなものだ。「合区解消」なら、議員定数を増やすか、ブロック比例制度にすればいいことで、憲法を変える必要は全くない。与党公明党がブロック比例を提唱し、野党でも同調する声はない。 ところが、47条で参議院は「広域の地方公共団体」(現状では都道府県)から「少なくとも一人」を選出できるようにする。憲法14条の「法の下に平等」原則と43
条の「国民代表」制を真正面から否定する。
しかも、火事場泥棒的に衆院選挙制度の改悪も持ちこんでいる。「両院の議員の選挙」の選挙区定数基準に、人口だけでなく「行政区画、地域的な一体性、地勢等」を持ち込むのだ。これも14条に従って「1票の格差を2倍以内にする」よう選挙区割りを定めてきた努力に反するだけではない。時の権力者が恣意的にできるための方便である「等」という文言までしのびこませた。
参院廃止の狙いも
それだけではない。47条改定に連動して92条(地方自治条項)に「広域の地方公共団体」という規定を入れる。
今は都道府県であるが、経団連、全国知事会などには道州制導入で参議院を道州議会の代表で構成する「現代版貴族院」にする構想がある。 自民党の新憲法草案にも「道州制」が明記されている。参議院が国民の代表ではなく、「地方公共団体」代表へと変質したら、参院は死ぬに等しい。
「地方の不満」への姑息な対応にすぎないように見える47条改定も、国家統治機構の根幹を改悪する意図を持っていることに注意しなくてはならない。
国の未来を拓く?!
自民党は、21日には教育条項(26条)改定案も決めた。これも、教育基本法に明記されている差別禁止や教育環境整備を加えるもので、憲法を変える必要はさらさらない。
しかも、47条改悪同様の火事場泥棒の手法で、教育は「国の未来を切り拓く上で極めて重要な役割を担う」という条文が入っている。教育はあくまで個人の発展のためにある。国家目的を明記すれば、国家主義教育が強制されることになる。
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