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  4. 2018.04.10
 
森友問題と佐川証言
幕引きは許されない
 森友問題で3月27日に実施された佐川宣寿元理財局長への証人尋問は、佐川氏が自己の刑事責任追及に関わるとして、「証言拒絶」を乱発し、事実解明は不十分に終わったとされている。しかしながら、ここで確認しておかなければいけないことが「2点」ある。
改竄は「付随」問題 
第1点は、森友問題の「本体」は森友学園への不当に安価な国有地売却で、安倍晋三首相や昭恵氏が関与したか否かであり、報告文書の改竄(ざん)は「付随問題」に過ぎない。
 報告文書の「改竄」が行われた「付随問題」の解明が不十分だからといって、「本体」の幕引きが図れる訳がない。報告文書の「改竄」は、財務省の内部調査で「客観的」に明らかで、報告書改竄の事実自体が「本体」のやましさを強く示唆している。
権力者の不利益に 
 第2点は、議院証言法に基づく佐川氏の証人喚問で明らかにしようとしたのは「刑事責任」ではなく、安倍首相の「政治責任」だ。
 「刑事責任」は、「疑わしきは被告人の利益に」が適用されるが、権力者の「政治責任」は、「疑わしきは権力者の不利益に」が原則である。森友への前例のない廉価な国有地処分の事実があり、首相夫人からの働きかけがあった以上、後ろ暗さ・やましさは明らかで、ましてや報告文書に改竄があったのだからなおさらである。 
 「政治責任」は、「刑事責任」のように「厳格な立証」は必要なく、疑惑のある政治家は権力の座から降りてもらわなくてはならない。
国会の追及に限界 
 刑事事件の反対尋問でも、証人を追いつめることは容易でない。今回の佐川尋問では、報告文書の改竄は事前に明らかで、「真相解明」と言われる問題は、誰がどのような動機・目的で文書を改竄したかで、これらは「犯罪の成立」そのものに関わる以上、佐川氏が証言拒絶を乱発することは、専門家であれば当然予想できた。 
 反対尋問による追及は「客観的事実」に反する「客観証拠」を突きつけるしかなく、「改竄指示メール」押収等の捜査機関の持つ強制権限のない国会が追及するには限界がある。
 被疑者の「黙秘権」は、個人が犯罪を理由に刑罰という人権制約を受けるについて、人が「人権享有主体」である以上、国家権力による人権制約に協力義務がないことを確認した、最も基本的な人権であり、佐川氏の証言拒絶は正当な権利だ。
「真相解明」の目的 
今回の証人尋問での「真相究明」について、その目的が「刑事責任」追及か、「政治責任」追及かについて、はき違えている節がある。尋問者は、改竄があった事実を確認した上、これが財務省の責任でなされたことを明らかにし、より「本体」が後ろ暗く、やましいものであることを国民にアピールする政治的プロパガンダとなる尋問をなすべきだった。政治責任と刑事責任を混同するかのごとき尋問をなしたこと自体に認識不足がある