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2018.10.02
 
南北首脳が『宣言』
平和と非核化
「敵対関係解消」うたう
 韓国の文在寅大統領と朝鮮の金正恩国務委員長との3回目となる南北首脳会談が9月18日から20日に平壌で行われ、「9月平壌共同宣言合意書」を発表した。韓国側は、経済・軍事・医療・文化スポーツ・環境など経営者や各分野の専門家らによる大型代表団を文大統領が率いて訪問、「共同宣言」は具体的で、「軍事分野合意書」が別に交わされた。

 「共同宣言」は先ず「朝鮮半島全域の戦争の危険性除去、敵対関係解消」と「朝鮮半島を恒久的な平和地帯にするための実践的な措置」をうたう。具体的内容は、南北の国防相による「南北軍事分野合意書」に陸海空での敵対行為、軍事演習の中止、黄海・日本海の緩衝地域、航空機の飛行禁止区域の設定などが明記された。これは、米韓軍事演習中止の継続を意味する。

 2つ目は経済協力で、南北の「鉄道・道路連結の着工式」「条件が整えば開城工業団地や金剛山観光事業の正常化」「自然生態系の保護・復元」、「医療分野」などの協力だ。

 3つめは「離散家族問題の根本的な解決」。4つ目は20年東京五輪への「共同参加」「32年五輪共同開催の誘致」「3・1抗日独立運動百周年の共同記念事業」。5つ目は朝鮮の「ミサイル発射台」などの廃棄、「米国の相応の措置に応じて核施設の永久的廃棄など追加的措置」を確認した。 また金委員長が近くソウルを訪問することも合意、南北分断以降初めてのことだ。

 「4・27南北板門店宣言」「6・12米朝首脳会談」と、朝鮮半島の平和への道をリードし、米朝協議が頓挫しそうになると打開してきたのは文大統領だ。

 今回も文大統領は、金委員長のトランプ大統領へのメッセージを9月24日に国連総会で会談して届ける。ポンぺオ米国務長官は「共同宣言」で朝鮮が核施設破壊に言及したことなどを評価、「米朝関係転換の交渉を即時に行う用意がある」と述べた。国連総会で米朝の高官協議が設定されるなど、2回目の米朝首脳会談が11月の米中間選挙の前に開かれる可能性もある。

 日本のメディアは相変わらず「文大統領のすりより」を心配、朝鮮が「核関連施設リストと非核化工程表」を示していないなど冷ややかだ。

 しかし、日本を含む「大国」によって70余年も分断を強いられてきた問題が簡単に解決できると思うのが非常識。「共同宣言」も経済協力は「条件が整えば」と慎重で、国連の経済制裁が簡単には解除されないからだ。

 また、「米国の相応の措置」を「共同宣言」という形で求めるのは、朝鮮側の譲歩だけで事態は打開できないからだ。「朝鮮半島の非核化」という米朝首脳会談の約束の実行には、米軍撤退や核の傘をたたむことも含まれるのであり、簡単でない。

 朝鮮半島・東アジアの安定と平和へさらに前進するためには、経済制裁継続にこだわり、「融和より非核化」を主張する日本政府の姿勢を転換させなければならない。