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2018.10.23
 
生活保護費
削減また削減~今月から段階的に~
04年~20年に24・5%減も

最大5%の削減
 昨年12月22日、安倍内閣は2018年度予算案を閣議決定した。そこには、平均1・8%、最大5%の生活保護基準削減が盛り込まれた。18年10月から段階的に19年10月、20年10月の3回に分けて、保護費を引き下げる。最終的には、国費で160億円(地方負担分を含めると213億円)の削減になる。

 生活保護基準の引き下げは、小泉政権下の04年から始まった。老齢加算の廃止で年337億円の削減。安倍政権下の13年に生活扶助費の平均6・5%、最大10%の大幅な引き下げ(年670億円削減) と期末一時扶助(越年費用)の引き下げ(年70億円削減)が行われた。

 さらに、15年に住宅扶助引き下げ(年190億円削減)と冬季加算(冬の暖房費)の引き下げ(年30億円削減)が行われた。

 そして、今回の引き下げである。高齢単身世帯(東京23区内居住の75歳)の場合、生活扶助費は04年の9万3850円が20年には7万900円と2万2950円(24・5%)減となる。

憲法25条に違反
 生活保護基準は5年ごとに見直しすることになっており、17年春から社会保障審議会生活保護基準部会で検討された。基準の検討は年収を10段階に分類し、最も低い第1十分位に入る世帯の消費実態と比較した報告書が、17年12月14日に出された。都市部の夫婦と子ども2人の場合の13・7%を最大に、現行保護基準が上回っている(下回る世帯もあるが、利用者の少ない地方が中心)という内容であった。

 そもそも、この検討方法の問題は、生活保護の捕捉率が20%程度といわれる中で、生活保護世帯も含む最低収入の層(極貧層)の消費実態で、基準を設定することである。最貧困層の消費実態で基準を決めたら、低くなることは自明だ。

 食費などの日常生活費に当たる生活扶助費の算定方式は、1984年から現行の「消費水準均衡方式」に拠っているが、概ね一般世帯の消費支出の7割前後の水準で決定することになっている。それさえも無視している。

 さらに、保護基準は国会では審議されず、厚労相が告示の形式で官報に掲載するだけである。実質的には、厚労省の官僚が決めている。福祉事務所のケースワーカーには、「生活保護基準額表」が配布されているが、13年度からの引き下げの影響を今でも受けており、今回の引き下げで表を見ても扶助費の計算は複雑で理解困難だ。官僚のなせる技の最たるものになっている。当事者が理解できる簡素なものでなければならない。

 生活保護法第3条では、「この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な水準を維持することができるものでなければならない」とうたっている。安倍政権の保護費削減は、憲法25条と生活保護法3条にも違反するものである。