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2018.11.13
 
10%とんでもない!!
消費税5%に戻せ
バラマキの後に 格差の一層拡大
        
 安倍晋三首相は19年10月からの「消費税10%への引き上げ」を表明し、「経済に影響を及ぼさないように」と経済政策を打ち出した。1割も税金が上乗せされるのは、多くの人にとって恐怖だ。しかし、安倍内閣の増税対応策は選別的なバラマキであり消費税増税分をも上回る支出になる。一時のバラマキの後に出現するのは、格差の一層の拡大だ。

選別してバラマキ 
 安倍首相の「経済政策」では、前回の引上げ時に実施した自動車・住宅など耐久消費財の購入への税制・補助金優遇をさらに上乗せをする。これは中間層向けバラマキだ。中小・小売店対象には、キャッシュレス決済した消費者に2%を公費でポイント還元。軽減税率導入に対応するレジなど、新経理システム導入にも助成する。

 カードもスマホを持たない人は2%還元の対象外なので、公明党はプレミアム商品券を要求し、プレミアム分は公費で賄う。公明党向けバラマキだ。

 消費増税対策に便乗し、自民党の二階俊博幹事長はゼネコン向けに「国土強靭化計画」を提言、党内には20?30兆円の財政出動を求める動きがある。参院選対策も含め巨額のバラマキが想定される。

 14年に税率を8%にした際は、5・5兆円を投入した。それでも消費は冷え込み、増税前に戻るのに4年かかった。今次増税の税収増は5~6兆円とされるが、財政出動はこれをはるかに上回ろう。

後には格差の拡大
 だが、中小企業や低所得者向けバラマキは一時のこと。「軽減税率」導入で小売店の大多数はレジ更新や、「店内飲食は10%、テイクアウトは8%」などの煩雑な仕組みに耐えられず、淘汰されていく。軽減税率に伴い後で導入されるインボイス制度は、売上1000万以下で消費税が免除の事業者を課税事業者に追い込むもの。

 また、軽減税率による減収1兆円を埋めるため医療・介護・保育負担を軽減する総合合算制度実施を見送る。一方、やはり減収対策として検討されていた株式配当など金融所得増税だけは見送られた。バラマキの後は格差の拡大だ。

 増税再々先送りの余地も残しているという見方もある。9条改憲、参院選での3分の2再確保のためには「財政規律」などどうでもよく、「つけ」は次期政権に回せばいい、というわけだ。 

安倍に勝つ共闘を
 増税の半分は、「幼児教育無償化」に回すという。しかし消費税導入から30年、法人税減税分を消費税増税・民衆の負担で埋めてきた。低賃金で購買力低下を強いられた民衆は、空前の利潤を溜め込む大企業に返してもらう権利がある。

 法人税を含む所得税の累進性を消費税導入前に戻し、資産課税を強化し、軍事予算を倍増する計画を止めるだけで、消費税を5%に戻すことはたやすい。福祉の拡充は無論、「将来世代に回すつけ」も次第に解消できる。

 野党は「10%引き上げ反対」だけでなく、「せめて消費税5%に戻せ」と明確な対抗軸を打ち出すべきだ。

 10 月30日の衆院代表質問で野田佳彦氏(無所属の会)は、バラマキ批判はしたが増税に反対しなかった。安倍政権が二度にわたり増税延期をし、身を切る改革=国会議員定数削減をしなかったことが主な追及点だった。

 立憲民主と国民民主の「仲立ち」を自称する勢力がこれでは、迫力ある野党共闘は望めない。「所得再分配」を堂々と訴え、安倍流ポピュリズムに勝つ野党共闘が求められる。反消費税闘争は憲法闘争である。