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  4. 2019.01.15
 
戦争国家へ法的な整備も
「専守」すら遙かに逸脱
新防衛大網・中期防
 安倍内閣は12月18日、自衛隊の戦略と必要な装備や組織の再編を盛り込んだ、19年度以降の防衛計画大綱と23年までの中期防衛力整備計画を閣議決定した。歴代の自民党政権が「専守防衛」の存在としてきた自衛隊はその枠すら大きく逸脱し、軍事大国化への道に大きく踏み出す。

 新大綱は国際情勢を「戦後最も厳しい環境」「新たな領域の活用が死活的に重要」とし、安全保障戦略を「従来の延長線上ではない」(昨年の通常国会での安倍首相演説)基本認識に立って、これまでの大綱を根本的に見直した。

 その中で9項目をあげ、「日米同盟の強化」「宇宙・サイバー・新領域の強化」、「海空領域の強化」、「弾道・巡航ミサイル攻撃対処能力の強化」など「多次元統合防衛力」を構築するとしている。

 新大綱を踏まえた中期防の予算額は、5年間で27兆4700億円。また、来年度の軍事費は、18年度予算から663億円増額の5兆2926億円と大きく突出している。

 その装備品は、「新領域の強化」で、宇宙関連経費を925億円とし、宇宙空間でのキラー衛星の撃破、通信妨害など宇宙戦争などを想定。「海空領域の能力強化」では、F35ステレス戦闘機の6機取得に1391億円(関連経費含む)を計上、最終的には147機を配備する計画だ。

 その中で短距離滑走離陸・垂直着陸可能な42機のF35Bを空母に改造する護衛艦「いずも」に配備する。

 また、「弾道・巡航ミサイル攻撃対処能力の強化」では弾道ミサイル防衛部隊を創設(1000名)し、2基で2352億円の「イージス・アショア」を導入する。さらに「島嶼防衛用高速滑空弾」の研究として138億円を計上したが、敵基地攻撃が可能なミサイルの開発費だ。

 防衛大綱は、日本の安全保障に関わる軍事戦略の基本としてこれまで5回策定された。

 最初に1976年の「必要最小限度の防衛力」として「基盤的防衛力構想」が策定されて以降、おおむね10年で改定されてきたが、今回の大綱は5年での改定だ。その間の大綱は、「動的防衛力」から「統合機動防衛力」となり、今回は「多次元統合防衛力」戦略とした。今や自衛隊は宇宙を含めた「地球を俯瞰」する軍隊となる。

 自衛隊の肥大化と並行して、周辺事態法(99年)、秘密保護法(13年)、改定防衛省設置法(15年)、安全保障関連法(15年)、共謀罪法(17年)などの戦争をするための関連法制が強行された。安倍9条改憲はその総仕上げとも言うべきものだ。

 このように自衛隊が「専守防衛」から「敵基地攻撃」能力をもつように変貌した背景には、政府や右派マスコミが意図的に中国・朝鮮脅威論を煽って世論を変えたほか、アジア・太平洋地域への影響力を相対的低下させた米国が日本に肩代わりを求めているからだ。

 1%への富の蓄積と99%の貧困の深化、社会保障費の削減、政官財の腐敗を前に、今こそ「憲法9条を守り、軍事費を削って社会保障に回せ」の声を大きくしよう。


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