|
厚労省の勤労統計不正 |
政権を徹底追及 ~国会開幕~ |
組織ぐるみの隠ぺい
年明け早々の1月8日、マスコミは厚生労働省の「毎月勤労統計」で2004年から不正・統計法違反の調査が行われていたと報道した。昨年の「ずさんな裁量労働適用者の労働時間調査」「行政における障害者雇用の水増し」などに続き、国の基幹統計の歪みは、雇用保険や労災保険、経済指標など国民生活への影響は底知れず、行政の信頼を根底から損なうものだ。
毎月勤労統計調査は、「雇用、給与、労働時間について、全国調査にあってはその全国的な変動を毎月明らかにすることを、地方調査にあってもその都道府県別の変動を毎月明らかにすることを目的とした調査」である。
そのデータによる給付は、雇用保険や労災保険、船員保険などに影響する。今回の不正で影響を受ける人は、延べ2000万人にも及ぶ。
不正の内容は、対象事業所のうち、従業員500人以上の事業所については全数調査が法律で決まっているにもかかわらず、東京都については3分の1しか抽出しなかったことである。そのため、総数には平均賃金の高い東京都のデータは3分の1しか反映されず、全体の平均給与額が低くなった。
さらに、18年1月からは、秘密裏に算出方法を変更したため、賃金の伸び率が高くなっていた。これは、「アベノミクスで賃金が上がったように見せる偽装」ではないかとの疑念も出ている。その上、04年から11年の資料の一部が廃棄され、見つからないという事態も明らかになっている。
厚労省は、外部有識者による特別監査委員会を1月16日に設置し、22日には中間報告書をとりまとめた。しかし、調査の不正を「意図的とまでは認められない」と、厚労省に忖度したものだ。
その後、24日行われた衆参厚労委の閉会中審査では、厚労省職員への聞き取り調査の半数が身内の厚労省職員で、しかも報告書の素案を作成したのも職員だったことが明らかになり、検証結果の報告からわずか3日で再検証に追い込まれた。
安倍政権は、19年度予算案を修正したり、厚労省の関係職員を処分したり、必死の幕引きを狙っている。しかし、事実の解明も行われていない中での対応は容認できない。国会で徹底解明を立憲野党が果たすことともに、根本匠厚労相の罷免、安倍政権に対する責任追及は今国会の最大の課題の一つだ。
|
|
|
|