|
公共事業や農地造成などで環境省が利用方針を策定 |
汚染土はどこへ? |
~住民の気持ちにつけ込んで
福島のあちこちに無数の最終処理場~
環境省は福島原発事故の除染作業で発生した大量の「除染土」を、全国の公共事業等で利用する方針を打ち出した。除染土の量が膨大で最終処分場のめどすら立たない中で、全国に放射能をばらまくのだ。これに対し、飯舘村放射能エコロジー研究会などは12月23日、東京都内で「環境省の除染土の再利用・埋め立て処分方針を問う」集会を開いた。
環境省は8000Bq(ベクレル)/㎏以下の除染土を、道路、鉄道、防潮堤、土地造成、水面埋め立て、農地嵩上げなどに利用する検討を15年から始めている。その実行のための「実証実験」を福島県の南相馬市、二本松市(住民の反対で撤回)、飯舘村で、また埋め立て処分実験を茨城県東海村、栃木県奈須町で始めた。
飯舘村の長泥地区は帰還困難地区だ。飯舘村の他の地域は避難解除され森林などを除き除染されているが、長泥地区は宅地周辺も除染されていない。地区住民は帰村の意向は少なくても、せめて宅地と農地の除染は希望していた。この気持ちを利用し、徐染するから再利用実験事業を容認させようとしている。
実証実験は、大量の除染土を地区に運び込み、その上を覆土して資源作物(食用ではないもの)を栽培し、安全を確認するという。環境省の建前は公共事業中心だが、私有地を利用する。
また、実験区域を流れる川の下流は浪江、南相馬への放射性物質の流出の危険がある。作物の「安全」が証明されたとなれば、次は全国で「再利用」となるのは目に見えている。
公共事業なら管理責任は国や自治体にあるが、民有地では行政は責任を取らない。何よりも、除染土は一時的に中間保存しても必ず最終処分場に搬出するという原則は捨てられ、福島県の各地が無数の最終処分場とされかねない。
環境省によれば、福島全域の除染土は1400万㎥。中間貯蔵施設に搬出されたのは182万㎥だけ。例えば飯舘村の森林面積は村面積の75%だが、除染されていない。森林の表層5㌢㍍を除染するとフレコンバッグ866万袋分が発生する。福島県の汚染森林の全てを除染すると膨大な除染土となる。だから国も自治体も手を付けない。
つまり、山林全体が事実上の「最終処分場」と化しつつある。加えて関東近県などで除染土33万㎥が2万8000カ所に保管されている。政府は原発事故被害を隠蔽するために、放射能を拡散し埋め込みたいのだ。
集会では、今中哲二さんが「除染土は福島第一、第二原発の広大な敷地に保管せよ」と訴えていた。今後、各地で強要される「受け入れ」に対し、自治体議会での反対決議などが広がるとみられる。
|
|
|
|