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政府は税金投入を |
国民皆保険が危機 |
負担にあえぐ健保組合
組合の解散が続き、2022年には年に5万円の負担増が予測される健康保険組合、他方、すでに破綻状態といえる国民健康保険制度。政府が支え合いを前面に出した高齢者医療の支援制度などが重荷になっている。政府の税金投入こそが制度改革の前提である。
大企業などの現役労働者が加入する組合管掌健康保険(組合健保)の保険料収入は7兆4833億円で、保険給付費(医療費)は3兆7577億円と、支出は収入の半分。これほどの優良経営なのに組合解散が止まらない。
07年度には1500あった組合数が17年4月に1400を切った。さらに団塊の世代が後期高齢者になる22年には保険料が年間5万円増になると健保組合連合会は危機感を訴えており、早晩現在の4分の1が解散の危機を迎えると予測されている。
解散されると所属する組合員(労働者)は、都道府県単位で中小企業が対象の協会けんぽに移ることになる。しかし、保険料が高くなる上に、組合健保のような自己負担上限の独自設定や人間ドックの自己負担軽減などの特典(付加給付)はなくなる。
赤字負担させられ
なぜこのようなことが起きているのか。それはこの間の制度改悪にある。本来政府が負担するべき高齢者医療(前期、後期)の赤字を負担させられているからだ。
例えば最新公表分の18 年度版厚生労働白書で14 年度決算を見ると、組合健保は後期高齢者支援金約1兆6000億円、前期高齢者納付金約1兆4000億円を支出している。前者は後期高齢者医療制度へ、後者は市町村の国民健康保険に回され、それぞれの医療保険を支えている。実に保険料収入の39・6%にのぼる。
「高くて払えない」
国民健康保険(国保)はさらに深刻な状況にある。もともと低所得者の加入が多かったが、会社の健保に入れない非正規労働者や高齢者の増大で各自治体は保険料の値上げを繰り返している。
しかも、組合健保や協会けんぽにない世帯割や家族人数によって課せられる均等割の負担がある。そのため同じ収入なら被用者保険の2倍程度の保険料の負担となり、高くて払えないという悲鳴が聞こえ、自治体には滞納額が積もり保険財政を圧迫している。
保険料収入は2兆7902億円で、保険給付費は3倍超の9兆3585億円。これでは経営できないので国や都道府県の負担、さらに自治体負担と前期高齢者交付金でやりくりしている。その自治体負担には多くの自治体で保険料高騰対策のため、一般会計から法定外の繰出金もあり、毎年約3500億円の支出をしている。
5万円の負担増も
この破綻状況を何とかしようと、18年度から市町村ごとではなく都道府県単位になり、国からの財政支出が3400億円あった。しかし、その見返りに政府は法定外繰出金をやめるよう指導しており、現在は激変緩和されてはいるが、全廃されると多くの自治体で平均年間約5万円もの負担増になると警告されている。
全国知事会でも国保料を協会けんぽ並みに下げるために、国が1兆円負担すべきとしてきた。命と健康に関わる医療制度の維持のためには、国が累進税率の強化などで必要財源を確保しなくてはならない。
新社会党の「政策」
①他の保険による支援ではなく政府による税投入で後期高齢医療制度を支える。
②国民健康保険に知事会が要望してきた1兆円の支出増で保険料を引き下げる。
③国民健康保険は世帯割や均等割、さらに資産割をやめる。
④これらの財源は下げすぎた法人税や所得税の累進税率を戻して確保する。
⑤中長期的には70歳以上の高齢者の医療は無料化し、健康保険制度は一本化する。
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