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  3. 2019.05.21
 
金儲けの手段にするな
食品は生命の源 ~遺伝子操作NO!!~ 
ゲノム食品が夏にも食卓に
  厚労省は3月、遺伝子を切断する遺伝子編集食品を従来の品種改良と同じだとして安全審査不要、届出だけで今夏から流通させる方針を打ち出した。一方、欧州司法裁判所は昨年7月に遺伝子編集作物を遺伝子組み換え作物同様規制すべきとの判断を下した。

知的財産権は企業の収益源
 遺伝子編集は動植物の遺伝子を人為的にその一部を切断することによって性質を変えるもので、遺伝子組み換え
のように別の遺伝子を組み込むもので
 『ゲノム食品、私たちはモルモット』と題して講演、政府・厚労省の姿勢を厳しく批判する天笠啓祐さん
はない。現在効率的に特定の部位を切断する技術ができており、企業は知的財産権の囲い込みによって大きな収益源として開発競争を強めている。

 一方、政府は欧州が規制を強めるネオニコチノイド系農薬や除草剤グリホサート(ラウンドアップ)も野放し。国内で使用禁止されている防カビ剤をポストハーベストとして使用している米国産オレンジなどの輸入を迫られた政府は、農薬ではなく食品添加物と偽って輸入を認めている。

 すでにゲノム編集技術による除草剤耐性ナタネや大豆などが米国で市場化されており、小麦も開発が活発である。国内でも理化学研究所が、有毒なアルカロイド(ソラニン)を含まないジャガイモを2016年に発表している。魚や豚でも開発が進められている。

 こうした傾向を是認する政府は種子法廃止にとどまらず、今回遺伝子編集作物を安全審査なしに認めようとしている。

 この流れは、安倍内閣の「統合イノベーション戦略」が昨年6月に閣議決定されてから一気に加速した。「遺伝子組み換え作物からゲノム編集へ」という流れである。遺伝子組み換え作物はある意味では、失敗の23年であったと言うことができるのである。

 食物は人間の生命の源であり、複雑かつ微妙なバランスで植物も動物も成り立っている。長期的な視野もなく市場開放していいはずがないし、規制対象外になれば食物に遺伝子編集との表示もされない。知らず知らずのうちに口にしてしまうことになるのだ。

GMOフリー全国交流集会
 こうした企業や政府の動向に対して、3月に千葉県成田市で第14回GMOフリーゾーン全国交流集会が成田市長や地元県議も参加して開かれた。

 集会では有機農家が中心となって学校給食に有機作物をはじめとした地元産品使用の報告や、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン代表の天笠啓祐さんの「ゲノム編集食品、私たちはモルモット」と題する基調講演が行われた。天笠さんは「私はいま猛烈に怒っている」と国の姿勢を糾弾し、ゲノム編集の現状や世界の動きを報告し、その危険性を警告した。

 同全国交流集会では、「遺伝子組み換え作物に未来がなく、遺伝子編集で新たな作物や食品開発を進めているが、これらのGMO作物拒否を貫き、地域の農と食文化を守り、食の安全と生態系を守る」とする集会宣言が採択された。