野党共闘には多くの課題も
改憲や消費税増税などを争点に戦われた参院選は7月21日投開票され、与党は71議席で非改選と合わせて過半数を大きく超えた。また、維新なども加えた改憲議席は81で、非改選と合わせて161と、市民と野党の共闘が3分の2議席を阻止する形となった。
2番目の低投票率
投票率は前回の54・7%から48・8%に下がり、史上2番目の低さだった。しかし、32の全1人区で市民と野党の共闘が成立し10区で競り勝って(前回11)、改憲議席3分の2を阻む原動力となった。
安倍政権は、目玉の外交でもイラン訪問など何の成果もなく、「政治の安定」を掲げ、消費税増税に踏み切り、改憲を前面に押し出したが、「(憲法を)議論をするかしないか」と言うだけだった。
一方で、公示直前に韓国バッシングを開始し、両国関係を異常なほど緊張させることで右翼的な支持層を煽り立てた。立憲野党の共闘で改憲議席は阻止できたとは言え、無内容で異様な安倍自民党でも生活に不安を感じる有権者の多くが棄権し、維新が10議席と伸び、「N国」まで当選したのは深刻な事態だ。
立憲野党の課題
安倍政権が辺野古新基地を強行する沖縄をはじめイージス・アショア配備計画がごり押しされる秋田で野党が勝利し、「消費税廃止」を鮮明にした山本太郎氏の「れいわ」が2人当選し、1人区の宮城でも「廃止」を訴えた立憲候補が競り勝つなど、注目すべき結果も生まれた。
また共産党候補を無所属で擁立した徳島・高知合区では野党が一体で善戦した。新社会党が推薦した社民党比例では元職の吉田忠智氏が当選して政党要件は確保できた。立憲は躍進とまではいかず、国民が無所属野党統一候補でかなり当選させたので、両党の力関係は「激変」はしないだろう。
立憲野党は、憲法審査会での改憲論議を阻み消費税増税反対で一致し、野党共闘を成立させた。しかし、安倍政権の消費税増税には「反対」では一致したが、各候補は「凍結」「中止」「廃止」とそろわず、「増税再延期は無責任」との声も野党内に伏在した。「社会保障の給付抑制と負担増の検討」に踏み込んでくる安倍政権と対決するためにも、揺るぎない対抗戦略の一致が求められる。
憲法も議論の「必要・不必要」では野党の足並みがそろっているとは言えない。安倍首相は21年9月までの「任期中に改憲に挑む」とし、「国民民主党」を名指しで野党分断に乗り出した。対イランの「有志連合」や南北融和の敵視、日米安保体制の見直しなど策を弄してくるだろう。
1年以内に解散総選挙の可能性もある。野党共闘の前進と政策的な明確化が問われる。 |