【憲法】
憲法改定の発議要件である3分の2を参院で割り込み、安倍晋三首相が目論んでいた2020年末までの新憲法施行はとりあえず頓挫した。しかし、秋の臨時国会は改憲論議が最大の焦点となる。側近が「安倍首相は改憲に勝負をかける」と言ったという。護憲派の共闘態勢・政策統一など深化が問われる。
改憲戦略の再構築
安倍首相は7月22日の記者会見で、自・公両党が改選過半数(63議席)を上回る議席を得たことを受け、「安定した政治基盤の上に、新しい令和時代の国づくりを進めよとの力強い信任を頂いた」と自信を示した。
そして、憲法改定については「少なくとも議論は行うべきという国民の審判だった」と強調、「野党はこの民意を正面から受け止めるべき」と野党側に、衆参の憲法審査会でそれぞれ具体的な改憲案を示し、議論に加わるよう強く要求した。
安倍首相はまた、「国民民主党の中に憲法改正を議論すべきだと考える人もたくさんいる」と述べ、国民や無所属議員も加えた改憲勢力の再構築で国会発議に必要な3分の2をめざす意向を示した。
安倍首相はまた、「(立憲民主党が)安倍政権の間は議論しないというのはおかしい」と批判し、立憲がいつまでも抵抗を続けた場合、立憲抜きで議論を進める可能性も示唆した。同時に、「必要とあれば衆院解散」もチラつかせ、政治攻勢で野党再編を目論むことも視野にいれている。
秋の臨時国会では大きな対決法案はないとされ、臨時国会は改憲論議が最大のテーマになるとみられる。
当面の政治的焦点
秋に向けて首相が改憲策動を加速させることは必至だ。安倍暴走とトランプ米大統領の軍事冒険政策と結び付けば、どんなことになるか。それは、安倍政権による集団的自衛権行使の具体化が現実化することである。トランプ政権が提唱する「有志連合協力」がその戦端を開くことになりかねないのだ。
トランプ氏は、来年の大統領選で再選をめざして支持を獲得するために強権政治と緊張を煽る可能性がある。安倍首相も解散・総選挙をにらんで、また改憲を主導するために日韓関係の緊張激化を演出するだろう。
「イラン危機」は、そもそもトランプ政権の突然かつ一方的な「イラン核合意からの離脱」が発端である。ペンス副大統領は「米国は準備を整えて」と述べ、米軍制服組トップのダンフォード統合参謀本部議長は有志連合を呼びかけた。米国は明らかにイラン戦争を準備している。
一時は、「核戦争の危機」と危惧された朝鮮半島情勢は、韓国民衆のローソクデモが反動政権を打倒し、民衆の力を背景とした文在寅政権がトランプ氏を説得し、緊張緩和をつくり出している。日本の民衆も、韓国民衆の闘いに学び、教訓とすべきではないか。
参院選が終わり、政治は新たなステージに進んだ。参院選で争点になったテーマを総括し、次の闘いを展望したい。 |