【生活】
衆参で与党過半数が続くことになった参議院選。結果が判明した直後の7月23、24日の両日行われた朝日新聞の世論調査によると、安倍政権に望むのは年金など社会保障の充実(38%)や教育・子育て(23%)、景気・雇用(17%)であり、安倍晋三首相が正面に掲げた「憲法改正」はわずか3%だった。
迫力不足の既存野党
社会保障の充実は、財源に直結する。消費税増税を控えて、安倍政権は初めて選挙に敗北しなかった政権だ。それだけ消費税は国民に刷り込まれたといえる。最大の要因は、生活第一を掲げた民主党政権が財源問題で頓挫し、公約を投げ捨てて消費税増税にかじを切ったことだ。さらに、民主党政権末期に自公とともに「税と社会保障の一体改革」を合意したことがある。
この経緯を含め、法人税を下げないと国際競争に勝てない、企業が海外に逃げるという言説が無批判に垂れ流されてきた。これらの縛りが、既存野党の統一政策を「消費税増税反対」にとどめ、迫力不足にした。
再分配構造今やなし
消費税は天下の悪税だ。格差と貧困が社会問題化している中で消費税は、富を手にしている大企業や富裕層の税負担を軽減させる一方で、貧困や社会保障対策は庶民同士の負担とされる。富める者の社会的負担という再分配構造は、今やない。
さらに、消費税は景気を悪化させる。景気悪化のツケは当然のように人員整理や賃金引下げ、非正規社員増大となる。3%から5%に増税した97年以降、日本は世界で唯一の経済停滞国となった。平均時給は下がり、働く貧困層が急激に増大してきた。民主党政権末期から経済は上向いていたが、14年の消費税8%で腰折れした。
その後、安倍政権は10%への引上げを2回も延期した。今次選挙前も税率アップを躊躇したが、煮え切らない野党の姿勢が見透かされ、既定方針通りの強行となった。
社会保障充実が責任
既存政党の動向を横目に、れいわ新選組は貧困の原因の一つが消費税であることを暴露し、主張した。消費税廃止や全国一律最賃1500円、奨学金「徳政令」を打ち出して共感を得た。比例区で2議席、得票率4・55%を獲得し、一躍国政政党に躍進した。貧困や生きにくさは自己責任ではなく、政治の責任だと訴えたのだ。
この教訓を生かし、政権に社会保障を充実させよう。マクロ経済スライド方式という年金削減システムを廃止させ、国民健康保険や介護保険を国の負担増で安定化し、利用者負担の軽減を実現しよう。雇用の安定を基盤として、社会保障諸制度の充実を図ることが政治責任だと迫ろう。 |