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  3. 2019.09.10
 
ウソつき市長追及
カジノ阻止 
反対運動大きく広がる
 横浜市の林文子市長は、8月22日の記者会見でカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を正式に表明した。47ヘクタールの敷地面積を持つ山下ふ頭(横浜市中区)に整備し、2020年代後半の開業を想定している。誘致表明は全国4カ所目だ。これに対し、市民や予定地の山下ふ頭を拠点とする横浜港運協会は「カジノ絶対阻止!」へ運動を進めている。

横浜が誘致を表明
 カジノ誘致に積極的な林市長は17年市長選の際、市民の反対が強いために、「誘致は白紙」と慎重派を装った。選挙でウソをついた林市長は、決断の理由を「人口減で財政事情が厳しさを増す中で将来にわたり成長、発展を続けるためにはIRを実現する必要がある」と説明した。

 記者会見には誘致に反対してきた太田正孝市議(立憲民主党)や井上桜市議(無所属)、「シール投票」の女性たち、簡易宿泊所が密集する寿町の関係者、市民運動のメンバーらが詰めかけ、会見後に市長室に抗議声明と署名提出に向かった。

 しかし、秘書課や政策局の職員が遮断、自分たちが市長の代わりに聞き、署名を受け取ると言い、市民は直接市長に抗議し、署名を渡したいと騒然となった。6月に4カ所で行われた説明会で、事業所側の説明を読み上げただけで質問にまともに答えない政策局にも怒りが爆発したのだ。

 太田市議と井上市議が市長と面会し、市長が「会いたくない」と駄々をこねていることが判明。副市長が代わりに抗議声明を受けとり、必ず市長に読ませると約束し、シール投票の代表者と市民団体が抗議声明を読み上げ、提出した。

 市民の間では、市長選で「カジノ誘致は白紙」とウソをつき、民主主義に反する林市長のリコール運動や市民投票も追求すべきとの意見が出されている。

 横浜市は誘致に関連する2億6千万の補正予算案を9月議会に提出する。可決されれば、IR区域整備計画の申請に向け、専門的な調査分析、市内のギャンブル依存症患者の実態把握、山下ふ頭のインフラ調査などに入る。また、市民に理解を求めるためとして、全18区で市民説明会を開催するとしている。

 横浜市が昨年、市政の中期政策について市民から意見を募集した際、特に多かったのがIRに関する項目で、寄せられた433件のうち、94%が誘致に反対だった。また、市が6月に行った市民説明会で333人に行ったアンケートのIRのイメージについて最も多かったのが「治安が悪くなる」で、その次に多かったのが「ギャンブル依存症になる」だった。

 カジノ誘致阻止に向けて8月29日には「STOPカジノ横浜準備会議」が開かれるなど、カジノが誘致反対の運動は大きく広がろうとしている。