改善の意志なし ~安倍政権経済損失も無視~
日韓関係の悪化は深刻で、改善の兆しはない。韓国経済への打撃だけではない。財務省の発表では、8月の韓国向け食料品輸出は前年同月比40・6%減。なかでもビールは9割減。8月の韓国からの訪日旅行者数は、前年同月比48%減。安倍政権の韓国敵視のために観光業はじめ日本企業は大きな被害が出始めた。
9月24日~25日に開かれた「日韓経済人会議」は、「韓国企業の生産に支障をきたし、日本企業は市場を失う。消費者も含め誰もが損失を被る」なかで、「両国官民の先達が築き上げてきた互恵的、良好な経済関係が危機に瀕していることを憂慮」し、両国の対話を求める声明を出した。
日本のマスコミは、文在寅政権が「不買運動」を煽っていると報じるが、違う。
一時いくつかの自治体で、日本の「戦犯企業」製品を明示し不買努力義務を定める「条例」が制定された。しかし9月17日に開かれた自治体首長の会議では、「国益を優先する」ために同条例の留保を確認した。日韓関係の改善に支障となってはならないからだ。
しかし、「不買」や日本旅行自粛は自然に広がる。世論調査では、8割が「輸出規制撤廃までは不買」と回答している。それほどに安倍政権の仕打ちが韓国民を怒らせている。
韓国政府は9月11 日、日本の輸出規制(半導体素材3品目)は「徴用工判決と関連していて政治的な動機から行われた」としてWTO(世界貿易機関)に協定違反と提訴した。
安倍政権は「徴用工判決が国家間の約束違反」ないし「韓国の貿易管理に不適切な事案がある」という二枚舌を続けた。前者は政治問題で「貿易の自由」を規制するのでWTO協定違反。また「不適切な事案」の具体的内容を示していない。
これではWTOでは通用しない。しかしWTOの紛争解決には3年近く要し、紛争を処理する上級委員会は米国の非協力によって機能マヒに陥っている。安倍政権はその間に「嫌韓」排外主義を煽り、憲法改悪をすればいい腹積もりなのだ。
韓国は安倍改憲を強く警戒している。改造内閣の茂木敏充外相、河野太郎防衛相を「韓国シフト」と受け止めた。先月26日に行われた初の外相会談で茂木外相は、康京和外相に従来通り「徴用工判決を改めよ」と求めただけ。国連総会場で文大統領は対話を求めたのに、安倍首相は話そうとしなかった。
最近行われたNSC(国家安全保障局)の改組では、首相側近で警察庁情報畑の北村滋氏を局長に据え、さらに韓国と中国をにらみ局内に通商政策も仕切る「経済班」を新設、安倍路線強行体制だ。
萩生田光一文科相は、愛知トリエンナーレへの補助金不支給という異様な仕打ちをした。日本に植民地支配で苦しめられた韓国は、こうした安倍政権の動向に敏感だ。 |