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  3. 2019.10.15
 
国会で全容解明を
関電幹部に原発マネー 
稲田明美衆院議員にも
 

 関西電力幹部らが、長年にわたって巨額の原発マネーの還流を受けていたことが明らかになった。関電幹部が国税調査を受け、弁護士などによる社内調査委員会で報告をまとめたのは昨年9月。「違法性がない」などと結果を公表せず、1年間も放置していた。

 原発会社は原発設置や発電維持、再稼動などのために湯水のようにカネをばらまくが、今回の事件は高浜原発のある福井県高浜町の元助役(故人)が長年にわたって関電幹部に金品を渡していたという事件だ。

 関電は公益事業であり、贈収賄罪、特別背任罪だという指摘がある。開会した臨時国会で関係者を招致するなどして全容を徹底解明しなくてはならない。

 元助役の関連会社から自民党幹事長代行の稲田朋美衆院議員(福井1区)へも、2011年から3年間に36万円の献金があったことが明らかになっている。

 元助役は役場を退職後、地元建設会社の役員や関電プラント顧問を務めていた。3億円超えるカネの出所とみられる建設会社は18年度までの5年間で売上高を6倍、21億8000万円としており、癒着関係は明白だ。

 関電の調査報告では11年から18年の期間だけでも金品の授与は約3億2000万円。豊松秀美元副社長・原子力事業本部長と鈴木聡元同本部副本部長はそれぞれ1億円超を受領していた。2人で全体の7割超を受けとっており、電気料金が原発マネー還流という形で関電幹部の私腹を肥やしていた構図だ。

 関電幹部は元助役の恫喝的な言動で返せなかったと被害者を装い、返せば済むかのような態度だ。今月2日の記者会見でも八木誠会長、岩根茂樹社長は、「真相解明」とか「膿(うみ)を出し切る」と言って辞任を否定したが、「膿に真相解明」などできるはずがないことは明白だ。