財源は確保できる
消費税増税で税率が10%になった今年は消費税導入30 年。この 間、税構造は大企業や富裕層の減税を消費税に転嫁する形で大きく 変わった。不況の中での消費税増税はデフレを長期化し、雇用劣化
と社会保障切り捨てを推進した。消費税の問題を改めて検証し、消費税廃止に向けた流れをつくろう。
大企業や富裕層の納めるべき税金を軽減し、消費税でその穴を埋めた。そのため税収は増えず、法人税と所得税、そして消費税からなる主要な財源内訳が大きく変わった。
税収は増えず
悪税だが、消費税分の税収が増え、社会保 障に全面的に使われていれば、国の借金がこれほど膨らむことはな く、社会保障の後退とそれによる不安が高じることはなかった。
この30 年、自民党政 府は高齢化社会のためとか、社会保障財源という消費税のお題目を述べたが、福祉サービスの切下げと負担増を 繰り返した。2000年には介護保険制度が導入され、介護の財源不足を40歳以上の保険 料で埋め合わせた。
雇用は、新自由主義の浸透と労働運動の弱体化で長時間過密労働が蔓延し、非正規労働者は雇用全体の約4割を占め、その多くはワーキングプアとして人生の希望を奪われた。 消費税は派遣や請負として外注すると、節税できる仕組みがあり、 不安定雇用を加速する役割を果たした。
景気を冷やし
そして 97年や14年の消費税増税に見るように景気を冷やし、 20年以上にわたるデフレ状態を招いた。この間時給が下がったのは先進国では日本だけで、実質賃金も下がった。
大きく下がった購買力はアベノミクスの 「異次元の金融緩和」でも物価上昇を招くことはなく、消費不況は企業の設備投資意欲も 減退させた。
税滞納の一位は消費税だ。消費税は赤字でも納めなくてはならず、厳しい競争環境と売り手と買い手の力関係では消費税を転嫁できない。それでも計算上の消費税を納めるため、中小企業は身銭を切らざるを得ない。
半面、輸出企業は輸出する際、形式上の消費税負担分を莫大な還付金として得ることができる。18年度予算の消費税収は22兆3千億円、そのうち輸出還付見込み額は4兆9320億円、22
・1%を占 める。
日本の経済を底辺で支える中小零細業者、とりわけ年商1千万円以下の非課税業者に対するインボイス制度導入は致命的で、大量の廃業が予想される。
「5%」の動き
参院選で消費税廃止を訴えたれいわ新選組の躍進で、「5%」への動きが鮮明になった。所得税の累進制と法人税を消費税導入前に戻し、さらに法人税に所得税の超過累進税率を導入すれば、消費税を廃止しても大きな財源を得ることができるの
である。 |