米の「核合意」復帰こそ
安倍晋三首相は10月18日、中東情勢の緊迫化と日本に関係する船舶の安全確保を口実にNSC(国家安全保障会議)に自衛隊派遣の検討を命じた。根拠法は防衛省設置法にある「調査・研究」、国会の議論・承認もない脱法行為だ。相次ぐ閣僚の不祥事辞任など腐敗と末期症状の安倍政権が、トランプ米政権に忖度して自衛隊を派兵することは憲法違反であり、許されない。「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」は10月30日、首相官邸前で緊急抗議行動を行った。
緊急行動で、「総がかり実行委」の福山真劫共同代表は、「トランプ政権がイラン核合意を勝手に離脱し、新たな軍事的緊張を作った。米国の責任でイラン核合意に復帰し、緊張を緩和させるべきだ」と指摘。「9条を持つ日本の、さらなる海外派兵など絶対に許すわけには行かない。立憲野党と連携して全国から『安倍を許さない!安倍NO!』の声を」と訴えた。
共産党の井上哲・参院国対委員長は、「政府は不測の事態が発生すれば、海上警備行動を発令する可能性があると認めている。いったん送れば任務がどんどん拡大していく可能性がある」と述べ、なし崩し派兵の武力行使の危険性を指摘した。
立憲民主党の大河原雅子衆院議員は、「トランプ政権に忖度して派遣する安倍政権は、自衛隊員の命をどう思っているのか。危険性を多くの国民に知らせよう」と訴えた。
JVC(日本国際ボランティアセンター)の今井高樹代表理事は、「自衛隊が出て行くことで海外の人々の日本を見る目が大きく変わる」と述べ、日本に好感を持っている中東の人々が反感を持つようになると指摘した。
海運9条の会世話人の平山誠一さんは、「日本に安定的にエネルギーが入ってくるにはトランプが合意に戻ること。その外交努力こそが安全を守る。安倍のやっていることは逆さま」と強調した。
他に「戦争に協力しない!させない!練馬アクション」の池田五律氏、日本山妙法寺の武田隆雄氏が訴え、250人の参加者は、官邸に向けてシュプレヒコールを繰り返した
中東派兵は9条に違反~憲法研究者が声~
ホルムズ海峡周辺への自衛隊派遣について憲法研究者有志は11月1日、参院議員会館で記者会見し、「自衛隊が紛争に巻き込まれ、武力行使の危険を招く点で9条に違反し、自衛隊員の生命・身体を危険にさらす」として「派遣すべきでない」とする声明を発表した。賛同者は発表時点で125名。会見には呼びかけ人の稲正樹・元国際基督教大教授ら5人が出席した。
声明は、周辺海域の緊張は米国のイラン核合意からの一方的離脱とイランへの経済制裁強化が原因と指摘。双方は直ちに「合意」に立ち戻るべきとする。
また、日本の立場について西アジアでの中立外交の実績から両国の仲介に徹することは十分可能であり、それこそ憲法の国際協調主義に沿うと強調する。
安倍内閣の派遣の意図について声明は、米国の呼びかけを「渡りに船」とばかりに自衛隊海外派遣の常態化を狙ったものだが、ほとんどの国が参加しない「有志連合」に参加する合理性は全くないと厳しく批判している。
派遣の根拠とする防衛省設置法の「調査・研究」について声明は、「国会の関与を含む一切の定めがない」とし、「野放し状態の派遣は平和主義、民主主義にとって極めて危険」と警鐘を鳴らす。
「安保法」との関連については、①米軍への攻撃があれば、集団的自衛権の行使につながる②米軍の武器防護によって自衛隊は米軍の戦争と一体化する③機雷が敷設されれば「存立危機事態」として集団的自衛権行使に踏み込み、戦闘中の機雷掃海は戦闘行為として攻撃を誘発する恐れがあると指摘する。 |