抗議デモ集会とデモ
幼児教育・保育の無償化から朝鮮学校の幼稚園などが適用除外されたことに抗議する集会が11月2日、東京・日比谷野外音楽堂で行われ、約5500人が参加、「すべての幼児に教育・保育の権利を!」と訴えるとともに銀座から東京駅までデモ行進した。幼・保の適用除外は、2010年に実施された高校無償化・就学支援制度から朝鮮学校だけが外されたことに続く差別だ。
集会とデモを主催したのは、フォーラム平和・人権・環境、朝鮮学園を支援する全国ネットワークなど8団体でつくる実行委員会。在日コリアンや市民、立憲民主党、日本共産党、社会民主党の国会議員が参加した。
集会では、朝鮮幼稚園幼保無償化中央対策委員会の南昇祐(ナム・スンウ)委員長は、「幼い子どもにまで民族差別の刃を向けるもの」と厳しく批判した。
デモ行進では、ベビーカーや子どもと手をつないだ父母、朝鮮学校の生徒、在日コリアンと日本の市民たちが、「いじめないで みんななかよし」などと子どもが描いた絵や横断幕、朝鮮語と英語で書かれたプラカードを掲げてパレードした。
幼・保無償化は今年10月から実施、消費税10%への増税から見込まれる税収分5兆6000億円から充てられ、少子化の原因となっている子育て世代の負担を軽減しようとする制度。支給に所得制限はなく、幼稚園・保育園の公立・私立また認可・無認可など施設の区分に制限はない。
しかし、安倍政権は各種学校の幼稚園を除外した。除外の理由として、①学校教育法1条の学校と異なり、多種多様な教育を行っている、②認可外保育施設に該当しない―の2つを挙げている。
すべての人に消費税を課税しながら、高校無償化制度から朝鮮学校を排除したのに続いて朝鮮幼稚園を無償化政策から外したことは国内法および「こどもの権利条約」など国際法にも違反しており、人道主義的見地からも明らかな差別だ。
就学前の子どもにとって、母語・継承語で教育・保育を受けることは自己のアイデンティティ形成にとって極めて重要な権利であり、今回の措置はこれを奪うものだ。
幼・保無償化対象となる施設は全国で5万5000カ所を超え、除外となる各種学校の幼稚園施設は88カ所、全体の0・16%に過ぎない。そのうち朝鮮学校の幼稚園は40カ所、インターナショナルスクールやブラジル人学校などが48カ所となっている。
また、各種学校が認可外保育施設に該当しないとする法令上の根拠はなく、すべての子どもを対象とする子ども子育て支援法の「すこやかに成長する」という基本理念からも外れている。
今年は「人類は児童に対して最善のものを与える義務を負う」と規定している国連の「子どもの権利宣言」採択から60年になるが、日本政府は世界の流れに逆行して「あなたの子どもは仲間外れだ」と宣言したのだ。 |