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  3. 2019.12.17
国民の声を無視 ~与党が会期延長を拒否~
『桜』疑惑にフタ

 第200回臨時国会は内閣主催の「桜を見る会」を巡る疑惑を何一つ解明することなく、12月9日、67日間の会期を閉じた。

 野党側は安倍晋三首相による政治の私物化などを徹底追及する構えで、40日間の会期延長を与党側に申入れたが、政府・与党は拒否。疑惑に蓋をしたまま与党側がめざした国民投票法改定案の継続審議など、会期末処理を強行した。

 野党側は内閣不信任決議案の提出を模索したが、「桜を見る会に関する閉会中審査などに、与党側から前向きな回答を得られた」(立憲民主党の安住淳国対委員長)として見送った。

 また、政治とカネを巡る疑惑では、菅原一秀前経済産業相と河井克行前法相が辞任に追い込まれた。いずれも公選法違反(河井氏は妻案里参院議員)を巡る疑惑によるものだが、両氏は辞任の際の「説明責任を果たしていきたい」という約束を果たしていないばかりか、国会も欠席したまま閉会を迎えた。

給特法、日米貿易 協定も成立を強行
 臨時国会で大きな争点だった公立学校に年間変形労働時間制を導入する給特法改定案と、新日米貿易協定承認案はいずれも12月4日の参院本会議で可決、成立した。新協定は来年1月発効する。

 給特法改定は、変形労働時間制導入によって“時間外労働させ放題”の実態が改善されるどころか、逆に過労死を推進するものだ。

 教員の過酷な労働を直視せず、ブラックな実態を何も解決しない改定法は、与党によって成立が強行された。

 時間外手当を払えば最低でも9千億円かかるとされる日本最大のブラック職場を変え、長時間労働をなくす闘いは今後、都道府県や政令指定都市の教育委員会が行う変形労働時間制の条例化を止める運動に引き継がれる。

 安倍首相が「日米両国にとってウィンウィン」と偽って強行した日米貿易協定は、トランプ大統領の再選のために日本の食料主権と食の安全を差し出すものだ。

 しかも、農業への影響は今回にとどまらない。協定付属書で、米国は将来において農産品に関する特恵的な待遇を追求すると記されていることが明らかになっている。輸入急増に対する緊急輸入制限(セーフガード)発動にしても、発動のたびに基準となる輸入量を引き上げることになっており、発動を抑制する仕組みだ。