公立病院再編・統合
厚生労働省が、「再編統合」を再検証すべき病院として、全国424病院を公表したのは9月26日。地域住民の健康を守る努力を続けてきた自治体や関係者に激震が走った。厚労省はこれまで「新公立病院改革プラン」などで病院を減らしてきたが、加速させる背景には医療費抑制を図る財務省の方針がある。
この動きは国鉄の分割・民営化によって、役割を公共性から利益に転換させ、地方路の廃止縮小で地方を疲へいさせたことと同じだ。同時に雇用面でも鉄道や旧電電公社などの集約、さらには平成の大合併で地方から職場と雇用を奪い、人口減少と超高齢化の大きな要因となった。
今回の病院再編統合は、こうした地方の住民生活にトドメを刺すことになる。通院時間が1時間を超える苦労や身近な医療機関がなくなる不安は、ひたすら公費削減をめざす中央省庁のエリート官僚には「小の虫」扱いだ。
銚子市立病院再建への闘い
こうした政府の方針を、地方はどう見ているのか。「公立病院の役割を重視し、市民のために補助して病院は続ける」と明言するのは千葉県銚子市の越川信一市長だ。
かつて市立総合病院の休止やリコールによる市長交代と病院再開、運営を巡って再度の市長交代を経験した千葉県東北部・銚子市の市立病院を見てみよう。
銚子市立総合病院(現在の銚子市立病院=写真)は、かつて医師確保が困難などで大きな赤字になった。それを受けて病院を守ると公約した当時の市長が病院を休止した。
このためリコール運動が起き、市長は休止の半年後にリコールされた。その後の市長選挙では元職の市長が当選し、第三者の医療法人財団銚子市立病院再生機構による運営を再開した。
しかし、その運営の不手際を巡って4年後に再び市長が替り、現在の越川市長が市財政の危機の中でも、医療公社の直営によって病院運営の基盤を強化した。再建途上だが、診療科目増加と赤字削減で着実に結果を出している。
現在、在宅復帰強化の療養病床の運用を始めており、同じ医療圏の旭中央病院と連携する回復期リハビリテーション病棟開始をめざしている。市民も病院再開に向けた運動の中で、身近で安心してかかれる医療機関としてなくてはならないものと期待を寄せている。 |