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  3. 2020.01.01
 
今の社会では生きていけない
トランペット政治からの脱却
                              ルポライター 鎌田 慧
 支持の理由は「ほかに代わりがいないから」。不支持の理由「人柄が信頼できない」。年末の世論調査の結果(共同通信)は、ついに「支持しない」が、「支持する」を越えた。

 安倍首相。憲政史上最長の在任という。が、長ければいいとは、だれもいわない。牛のよだれのように、スキャンダルまみれでだらだらつづいているのは、自民党に自浄作用がないことの証明。日本の恥だ。

 「腹心の友」(加計)の便宜をはかり、「私人」の妻が国有地売却に口出し(森友)、桜を見る会では税金で支持者を接待するせこさ。これらの恥ずべき公私混同は、さながら前近代国家の暴君。

 安倍首相の最大の罪は、平和憲法をまったく理解できないまま、その破壊のための政治を続けていることだ。

 九条破壊のために手を変え品を変え、攻略してきた。たとえば、北朝鮮のミサイル恐怖を誇大に騒ぎたて、教室の机の下に潜る訓練を小学生にさせ、イージスアショア導入に利用するなど、みえすいた謀略だった。

 トランペットといわれるほどに、トランプへの忖度と迎合が甚だしい。安倍首相は、商売上手の米大統領と会うたびに、さまざまな密約をしてくるようだ。「日米同盟の強化」とは米日迎合強化のことだ。

 イージスアショア導入は、発表された当初予算は2基合計で1600億円だったが、実は1基1224億円、それも本体価格だけ。これにはミサイル価格や維持費がふくまれていない。

 さらにステルス(見えない)戦闘機と呼ばれるF35は、1機120億円以上といわれ、はじめの頃は、42機といっていたが、さらに105機を追加する。

「アベの爆買い」
 垂直離着陸するF35Bは、1機140億円とか。米軍が買うよりも40億円高かったりするから、足下を見られている。

 「日本との巨大な貿易赤字が減っている。F35などの戦闘機をたくさん買ってくれるからだ」というのは、トランプのコメントだ。

 墜落事故が多く、悪評ふんぷんのオスプレイは1機100億円。これを当面17機配備する。沖縄辺野古の対岸に米軍所属のオスプレイが墜落、そのあとに、三沢基地(青森県)を発進した、自衛隊F35Aが行方不明(太平洋上に墜落)になった。両機ともに操縦がむずかしく、さらにパイロットの育成費がかさむ。

 防衛費は、来年度予算が5兆3千億円。これに米軍駐留費(思いやり予算)が年間2千億円。米軍再編関係費が年に6千億円。トランプはこれを5倍にしろ、と要求しているとか。大統領選挙対策の犠牲にされる、ネギを背負ったカモ。

 核兵器禁止条約締結拒否、沖縄辺野古基地の暴力建設。原発再稼働。石炭火力発電輸出などに、安倍内閣は聞く耳をもたない。

 最初に紹介した共同通信のアンケートで、安倍政権への要求でもっとも多かったのは、「年金・医療、介護」だった。誰が「老老心中」の社会にしたのか。アベ政治ではわれわれは生きていけない。